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11月15日のまにら新聞から

正義と司法への信頼を取り戻せ アンパトゥアン虐殺事件判決延期

[ 799字|2019.11.15|社会 (society)|新聞論調 ]

 マギンダナオ州アンパトゥアン町でジャーナリスト32人を含む計58人が殺害された事件から10年が経過しようとしている。

 この事件は、現地を支配していたアンパトゥアン元知事に対抗して知事選への立候補を決めたマグダダトゥ氏の夫人や親族が代理で立候補届け出に向かった際、同行していた報道関係者も含めて虐殺されたというものだ。選挙に関連する暴力、メディア関係者への攻撃として比国最悪の事件だった。

 この虐殺に絡み197人が告発されている。首謀者とされたアンダル・アンパトゥアン・シニアは2015年に死去しており、その息子で主な被告人のアンダル・アンパトゥアン・ジュニア、サルディ・アンパトゥアンは拘留中、サジド・アンパトゥアンは保釈されてシャリフ・サイドナ・ムスタファ町長をしている。この事件では357件もの証言が提出されたが、裁判が長引く間にそれらの証言者が殺されたり、脅迫されて証言を取り下げたりしている。

 本件の判決は、虐殺が起きた11月23日直前の今月20日に首都圏ケソン市地裁で下される予定だった。ところが、同裁判所がさらに判決を30日間延期したいと訴え、最高裁が認めた。

 58人の被害者のうち38人を担当するサントス検事は、今回の判決先延ばしに「我々は10年待ったのだ。30日など短い」と述べた。しかし、1日延びるごとに、正義への道のりもそれだけ長くなる。待たされることに意味があるとすれば、判決が「加害者にどれほど権力と富があっても、わが国では不処罰はあり得ない」と示した場合だ。

 同検事は「もし有罪判決が出なければ、比の報道の自由は死んだというしかない」とも述べた。この事件は、われわれの正義と司法システムへの信頼を揺さぶった。判決は、この信頼を取り戻すのか、それとも比国には強者と弱者のための2種類の正義があると見せつけるものになるのだろうか。(11日・スタンダード)

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