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6月14日のまにら新聞から

法の支配を重視せよ 会計検査院を嫌う大統領

[ 817字|2019.6.14|社会 (society)|新聞論調 ]

 会計検査院はドゥテルテ大統領が気に入らない政府機関の一つだ。彼は今年1月には会計検査院の職員を誘拐して拷問してやりたいとも言っている。また、この政府機関のおかげで地方自治体の首長たちが自然災害などの緊急時に予算を執行するのを困難にしていると何度も不満を述べていた。しかし、会計検査院はその任務に忠実で、アセアンサミットの際の大統領府報道班による過剰支出やテオ前観光長官による親族経営のメディア企業への莫大な広告契約など現政権の不正な資金の流れなどを指摘してきた。

 最近でも同院は、イスラム急進派の占拠で破壊されたマラウィ市の復興基金の中から500万ペソ分の資金が住宅都市開発調整評議会によってサウジアラビアのメッカに向かう同市の生存者たち27人への巡礼費用に充てるため流用された事実を見つけている。同院は今年2月18日付けで同評議会に対しその資金を復興基金に返還するよう通達を出した。これに対してドゥテルテ大統領は「今回の資金の流用は問題ない」と発言した。「イスラム教徒たちに対する寛大な資金援助だ。会計検査院は口をはさむな」と。さらに大統領は、自分が市長だった時もイスラム教徒市民の聖地巡礼に資金援助をしてきたと明らかにした上で、「(同院が)500万ペソの返還にこだわるのであれば、ミンダナオ人たちが反乱を起こすだろう」と警告した。

 確かに巡礼は、マラウィ市占拠事件で住む場所を失った人々の心を癒すのに重要な行事かもしれない。しかし、大統領がメッカ巡礼に資金援助するのと、「平和への投資」でもある復興基金とを同列で扱うことは行き過ぎだろう。大統領は、治安を回復させ法の執行を強化させたことから、国民の高い人気と信頼を得ている。しかし、治安を回復させることは法の支配を確立させることである。先の大統領のメッセージは、この法による支配を現政権が自ら弱めようとしていることを示すやっかいなものなのだ。

(11日・スタンダード)

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