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2月21日のまにら新聞から

「意見述べる女性」標的に 国連報告者が比政権に懸念

[ 703字|2019.2.21|社会 (society) ]

フォルスト特別報告者、「意見を述べる女性が標的」との人権状況について懸念を表明

 人権擁護者の状況に関する国連特別報告者のミシェル・フォルスト氏は、国連人権理事会にこのほど提出した報告書の中でデリマ上院議員=麻薬密売の罪で起訴、拘留中=とセレノ元最高裁長官らに言及、「堂々と意見を述べる女性が標的になり、(政権に)異議を唱えられないようにしている」と比の人権状況について懸念を表明した。

 これに対しパネロ大統領報道官は19日、報告書について「誤った情報に基づく上にひどく見当違いな報告で、現在の状況は彼女ら自身の行動の結果だ」と反論した。

 デリマ議員はドゥテルテ政権が進める違法薬物取り締まり政策の強硬な反対派だったが、2012年11月〜13年3月の司法長官時代にニュービリビッド刑務所(首都圏モンテンルパ市)内での違法薬物取引に関与した容疑で17年2月24日に逮捕、その後起訴された。逮捕から約2年となるが「政治的理由により保釈を許されず、拘束され続けている」と報告書は指摘した。

 ドゥテルテ大統領に批判的だったセレノ前長官について報告書は「ドゥテルテ大統領は辞職を拒否するセレノ氏の弾劾を求め、議会にそれを命じることまでした」と書いている。セレノ氏は、司法省のカリダ法務局長の任命資格を問う申し立てにより、昨年5月に解職された。

 名誉毀損(きそん)で訴えられて今月13日に逮捕(翌日に保釈)されたオンラインニュース・ラップラー運営会社の最高経営責任者(CEO)のマリア・レッサ氏についても「政権に批判的な報道が理由の政治的迫害だ」と逮捕を批判。ドゥテルテ政権に対し「公の場で人を中傷したり、恣意(しい)的な逮捕をしたりすることをやめるべき」と勧告している。(森永亨)

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