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2月1日のまにら新聞から

形ある書籍から学べるか 大学歴史科目で一次資料活用へ

[ 802字|2019.2.1|社会|新聞論調 ]

 高等教育委員会のカリキュラム改正で、大学の歴史科目は今後、一次資料を用いて教えることとなった。歴史的出来事を当時の人々の声や証言、また新聞記事や法律文書などで学ぶのだ。しかし、筆者は大学でホセ・リサール研究コースを教えているが、以前から教科書より彼の小説や手紙、詩や新聞記事など一次資料を用いて長年、教えてきた。最近の学生は文章よりイメージを好む傾向があるので、1874年に撮影されたリサールのアテネオ高校時代の写真やバグンバヤンで銃殺刑に処せられる際の写真なども使っている。

 幸運にもホセ・リサールの業績は25巻の本にまとめられており、スペイン語やドイツ語などの原語から英語やフィリピン語、はては主要地方語であるイロカノ語やセブアノ語などにも翻訳されている。もちろんリサールだけがわれらの英雄ではない。資料を読むにあたって現代フィリピン人が直面する問題は時間の隔たりより言葉の隔たりにあるが、19世紀の啓蒙思想家たちのスペイン語新聞「ラ・ソリダリダッド」はブックマーク社によって1997年に7冊版の英語に翻訳されているし、歴史委員会によってマビニやデルピラールなど著名な人物の著作も実は出版されている。

 大学レベルの歴史資料集となりうる本の多くは大学の図書館で閲覧するしかないが、リーダーズダイジェストが1998年に出版した「歴史 フィリピン人の歴史」はこれまで見たことがないような写真も交えてイラストなどが豊富に使われ読み応えある10冊本だ。

 また、一冊推薦する本はと聞かれたら、私はパトリシオ・アビナレスとドンナ・アモロソロの共著によって2017年に改訂版が出た「フィリピンにおける国と社会」を推薦する。フィリピンの歴史を一次資料で教える際の本当の難しさは、教科書嫌いの学生たちをいかに形ある書籍に向かわせるかというところにあるだろう。(30日・インクワイアラー、アンベス・オカンポ)

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