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6月6日のまにら新聞から

「自分の気持ちで決めたい」 マニラ市のモレノ市長が意欲

[ 1169字|2021.6.6|政治 (politics) ]

マニラ市のモレノ市長が来年の正副大統領選への立候補に言及。サラ氏出馬決定の報道も

 マニラ市のイスコ・モレノ市長(46)は4日、テレビ局ANCのインタビューで2022年5月の正副大統領選に立候補する可能性に言及した。立候補の場合は「この国に広がっている政治による色分けや分裂の修復を目指すだろう」と明らかにした。

 ANCによると、各種世論調査で候補者として名前が挙げられ、与野党を問わず好感度も高いモレノ氏は「もちろん心の中ではこそばゆく、とてもうれしい。しかし、立候補に動くとすれば、他グループの推薦があったからではなく、自分の気持ちで決めたい」と述べた。

 与党の一部が推すダバオ市長のサラ・ドゥテルテ氏(43)が自らを大統領候補、元国防相のヒルベルト・テオドロ氏(イサベラ州出身)を副大統領候補とする意向を固めたとの情報について、モレノ氏は「それはめでたい」と祝福した。一方で、ドゥテルテ親子そろっての立候補については「彼らが後々愚かだと言われないことを願っている。王朝のような政治体制は民主的な政府とは相いれない。投票者の1人として私は信用しない」との認識を示した。

 「世間からはまだ『若い』と言われているが」との質問に「『若い』のが年齢であるなら、私の方が(サラ氏より)年上だ」と述べた。さらに「仮に『未熟』の意味であるのなら、率直に言おう。マニラ市議として9年、副市長として9年、人々への奉仕は今年で23年目になる。口ではなく行動で証明し、じっくりと一つ一つ階段を上がってきた」と語り、政治的に未熟との見方を否定した。

 路上でゴミを拾う少年時代を経験する貧しい家庭に生まれ育ったモレノ氏は、2016年には上院議員に立候補、落選した。しかし、ドゥテルテ大統領によって17年に北部ルソン鉄道公社会長、18年には社会福祉開発省のルソン担当次官に抜擢されている。19年には副市長として長年支えてきた元大統領のエストラダ市長を破って、マニラ市長に当選した。

 大統領選で現政権批判勢力の結集を目指す「イサンバヤン」は、独立記念日の12日に合わせてオンラインで公開世論調査を実施し、候補者選びに一般の国民にも参加してもらう予定だ。リストにはモレノ氏や、立候補への意欲を隠さないロブレド副大統領らが掲載されるとみられている。ロケ大統領報道官によると、モレノ氏はドゥテルテ大統領の意中の大統領候補5人の1人にも挙げられており、今後の去就が注目される。

▽サラ氏決断の報道も

 一方、5日付英字紙トリビューンは、サラ氏が大統領選への立候補の意思を固めたと報じた。テオドロ氏と3日に初対面で4時間話し合い、タッグで闘うことを決定。2人の仲を取り持ったローランド・アンダヤ議員(カマリネス州選出)は「サラ氏は2週間前に出馬を決心していた。大統領である父親に相談はしなかった」と明らかにしたという。(岡田薫)

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