今年の経済成長目標4〜5% 開発予算調整委が2%下方修正
比開発予算調整委が2021年の経済成長率目標を6〜7%から4〜5%に下方修正
フィリピン政府の開発予算調整委員会は18日、2021年の国内総生産(GDP)成長率目標を従来の6〜7%から4〜5%に下方修正した。新型コロナウイルス・デルタ株の流行を受け、首都圏で6〜20日まで最も厳しい防疫強化措置が取られていることを踏まえた対応と説明している。22年の経済成長率予測は7〜9%で据え置いた。
閣僚で構成されている同委員会は21年の経済成長率目標を当初、6・5〜7・5%に設定しており、コロナ禍の防疫規制に伴う下方修正は2回目となった。
比統計庁発表の経済成長率は、20年通年でマイナス9・6%を記録。21年は第2四半期(4〜6月)が11・8%と6四半期ぶりにプラスに転じたものの、上半期(1〜6月)では3・95%の伸びにとどまっている。21年通年で目標を達成するには、下半期(7〜12月)で最低4・05%の成長が必要になる。
同委員会は「デルタ株の世界的な流行という急激な変化に伴う政府の追加的な規制を反映して下方修正した」とした上で、今後の成長戦略について「的を絞った防疫措置でリスクを慎重に管理しつつ、大多数の国民が生計を立てられるようにする」と説明した。
予防接種プログラムの展開を早めることを重視しており、21年末までに、特に人口密度の高い地域で必要な人数に接種を終え、主要な経済拠点で「大規模な防疫規制の必要性が大幅に減ることを期待している」という。
フィリピンの新型コロナの感染者は累計179万人を超え、東南アジアでインドネシアに次ぐ多さ。累計の死者は3万800人に達している。新型コロナワクチンの接種を終えた人は国民の約11%にとどまっている。
同委員会によると、新型コロンワクチンは比国内で15日現在、1回目の接種に1520万回分、2回目の接種に1260万回分の計2780万回分が接種されている。5日には1日の接種回数が71万482回と過去最高を記録、この1週間では47万5千回を超えている。(谷啓之)