「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
30度-24度
両替レート
1万円=P3,820
$100=P5885

4月13日のまにら新聞から

問題はボラカイだけではない 比観光地の管理不全

[ 813字|2018.4.13|社会 (society)|新聞論調 ]

 ボラカイ島の半年間の閉鎖が決まった。当地ではほぼ2軒に1軒のリゾート・レストラン・店舗が衛生・環境の法令に違反していたとされる。2142もの事業者が下水施設もなく、廃棄物をはき出していた。これらを取り壊し、不作為の公務員も罰するべきだ。

 この楽園がイメージを回復するには長くかかるだろう。ドゥテルテは、ボラカイの水を「汚水溜め」とののしった。事業者はあまりに長い間海を汚し、大腸菌のレベルは健康を害するほどだ。名高い白砂のビーチはヘドロで汚れ、マングローブ林も踏み荒らされた。

 上下水道復旧と同時に建築禁止地域からの立ち退きもなされるだろう。ボラカイ島の適当な人口は3万人程度だが、現在7万5千人のサービス従事者が暮らし、年に200万人もの旅行者がやってくる。ごみの排出量は、ゴミ集積場の容量の3・5倍にのぼる。

 ボラカイは、管理が不適切な比観光地の縮図だ。計画や区画は無視され、工場やスラムが大気と水を汚し、うるさいトライシクルやジプニー、カラオケバーが静寂をぶち壊している。ボホールやパラワン、ミンドロのような観光地では、宿泊施設が違法に浜辺にせり出し、コルディリエラやビコールなどの高地リゾートでも木々が切られ、鉱山が目に入る。バギオやタガイタイ、ルクバンは不法占有の家々でいっぱいだ。パンガシナンにあるビーチリゾートだって、トイレは不快な匂いを放ちゴキブリが動き回っている。

 このような混乱を許してきた地方公務員は訴えられるべきだし、リゾートの所有者は自らそれらの場所の環境を回復すべきだ。旅行者は規制違反を見つけ次第当局に通報し、ソーシャルメディアも活用して告発すればよい。

 とはいえ、皮肉なものだ。観光業は環境規制に大きく左右されるが、観光地を規制する国家公務員こそが、まさに自然を破壊する無責任な鉱山をこれまでに野放しにしてきた者達でもあるのだから。(9日・スター、ジャリウス・ボンドック)

社会 (society)