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10月13日のまにら新聞から

面目守るより寄り添いを 通勤パフォーマンス

[ 643字|2019.10.13|社会 (society)|新聞論調 ]

 「首都圏の交通機関は危機的状況にはない」とパネロ大統領報道官(75)が発言し、世間から轟々(ごうごう)たる非難を浴びたことで、本人が公共交通機関で通勤することになった。

 11日朝5時15分にケソン市ニューマニラにある娘の自宅を出発したパネロ氏は、一度自宅のあるマリキナ市へ向かい、ジプニーなどを4回乗り換えて職場である大統領府へと向かった。ジプニーがつかまらず警察官に助けられたり、トライシクルが故障して、付近のオートバイ男性にヒッチハイクを頼んだりすることもあった。職場には3時間半後の8時46分に遅刻して到着した。

 長時間並び、ぎゅうぎゅう詰め、さらに事故が相次ぐ電車に乗車しなかったのは「幸い」と言える。それでも「来週以降も同様の通勤を繰り返してもいい」と言ってのけるのは、面目を守るためではないのか。

 遅刻によって減給されないのかとの問いに「24時間が仕事だから大丈夫」と答えた。今回の通勤パフォーマンスは彼の仕事の一部だったと言ってもいい。

 この日の挑戦(帰りは車で帰宅)は、パネロ氏に輸送危機の実感を与えていると願いたい。一般の通勤者には選択肢がなく、毎日向き合わなければならない現実だということも。

 報道官が交通機関の混乱を否定したのは大きな誤りだった。これからは上司や同僚との間で、きちんと中身のある解決策を語り合ってほしい。特権的な立場から見下ろすのをやめ、苦境にある人々の声に耳を傾け、寄り添うことにこそ挑戦してほしい。(12日・スタンダード)

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