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12月7日のまにら新聞から

独裁者のクローンたち 次期正・副大統領選

[ 724字|2015.12.7|社会 (society)|新聞論調 ]

 大統領選出馬を表明したダバオ市のドゥテルテ市長はふてぶてしい態度を売りにしている。「女たらし」を自認し、超法規的殺人への関与も認めている。カトリック教会も恐れないとしてローマ法王にも悪態をついた。彼の大言壮語癖は、報道する価値がある。

 ドゥテルテ氏は、故マルコス元大統領が「フィリピンが必要とする指導者像である」と公言している。自身に反発した場合は議会の閉鎖も辞さないとの考えを示している。ドゥテルテ氏は「統制」と「法と秩序」をキャッチフレーズにしているが、故マルコス大統領もかつて同じうたい文句を掲げていた。

 国民は、殺人や性生活について冗談を飛ばすドゥテルテ氏を映画ダーティー・ハリーのような「良心のある暴漢」と評価しているようだ。元映画俳優のエストラダ元大統領の例で見れば、国民がテレビ映えの良い候補者に影響を受けやすいことは明らかだ。

 中央選管によると、若年層の有権者は3500万人で、当落に影響を及ぼす数字だ。多くの若者は戒厳令時代の「功績」に関する投稿をソーシャルメディアで目にしているだろう。副大統領選に出馬したマルコス上院議員が厚かましくも歴史を改ざんし、戒厳令下で行われた暴虐を忘れ、過去と決別すべきと、軽率な発言ができるのも不思議ではない。

 歴史の教科書は何を教えているのか。奮起した民衆が押し寄せ、命からがら逃げ出したマルコス一族がなぜ今一度、大統領府に返り咲くことが許されるのか。なぜ独裁者の「クローン」のような人物2人が選挙に出馬できるのか。

 マルコス上院議員は「重要なことは過去から前進すること」と主張する。しかし、国民にとって「前進」はやすやすと達成できるものではない。(3日・インクワイアラー)

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