病巣からの解放者か ダバオ市長が支持率トップ
世論調査機関、パルス・アジアが首都圏の有権者を対象に最近実施した次期大統領選に関する調査で、ダバオ市のドゥテルテ市長が支持率トップに躍り出たことは驚きである。まず、この調査は同市長が翻意して大統領選への出馬を表明する2週間前に行われていたことに加え、本人の地盤であるミンダナオ地方から遠く離れた首都圏で実施したにもかかわらず、この結果が出たことに驚きを隠せない。さらに、調査で同市長が有権者のすべての階層で支持を集めたことも特筆に値する。ロハス氏やポー氏への支持が上流・中流階層に、ビナイ氏への支持が貧困層にそれぞれ限られているのとはあまりにも対照的である。
もちろん、今後のさらなる世論調査の結果も踏まえなければならないのは当然である。しかし、対抗馬の陣営が選挙キャンペーンの練り直しを迫られたことは確実だ。ドゥテルテ市長にはポー議員が抱えるような国籍問題は当然存在しないし、汚職問題も特に浮上していない。一部の市民団体などから犯罪を取り締まるための強硬手段を実施するなど、彼の人権侵害について指摘されているが、そのことも逆に彼の神秘性を強めている。
最近も「もし自分が大統領になったら葬儀屋がもうかるだろう」と述べた。つまり彼は普通の候補者のような言動を取らないのだ。まったく政治家らしくない彼が、支配階級の出身でないことも一般の人々を引きつけている。
今回のように首都圏の有権者の支持を集めた理由は何か。それは犯罪から守られていないと感じる市民が増えており、インフラが未整備で通勤地獄などの残酷な毎日を送らざるを得ない現実にへきえきした市民らが、病巣から解放されるために手助けしてくれる人物だとみているからだろう。(28日・スター、アレックス・マグノ氏)