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6月16日のまにら新聞から

制度の抜本改造を 補助金不正流用

[ 723字|2014.6.16|社会 (society)|新聞論調 ]

 さまざまな問題で上院が分断されるさまをこれまで何度となく見てきた。エストラダ元大統領=現首都圏マニラ市長=の弾劾裁判はその典型例で、賛否をめぐって上院議員らが真っ二つに分かれた。最近の例では、コロナ前最高裁長官の弾劾裁判が記憶に新しい。

 これら過去の事例とは異なり、優先開発補助金(PDAF、通称ポークバレル)不正流用は、議員らの線引きが困難だ。上院議員の多くが流用問題の当事者となっているためで、立法機関の根幹をこれほど揺らしたスキャンダルは過去にはなかっただろう。

 12日の独立記念日には、不正流用事件に関連した抗議集会が首都圏で開かれるが、集会の様相も過去のそれとは異なることだろう。問題があまりに広範なため、参加者ら自身も具体的な解決策がどこにあり、何を要求すればいいのか戸惑うはずだ。

 集会参加者の中には、アキノ大統領や事件に関与した全国会議員、閣僚らの即時辞任を求める者がいるかもしれない。最も過激な部類では、「国会解体」を要求する声もあるが、過半数前後の上院議員や一部閣僚、政府高官の多くらが停職、辞任した場合、この国は一体どうなるか。

 私が提案したい解決策は、議員や役人を取り換えることではなく、金と権力へと政府関係者を駆り立て、大統領に過度の権力を集中させた現制度を抜本的に改造することだ。まず手をつけるべきは、共和国憲法の改正。制定から四半世紀が経過し、情勢と国のニーズにそぐわない部分がある。各制度には、不正や過ちを未然に防止するセーフガードが欠如しており、これらをきちんと整備しなければならない。さらに、リーダーに盲目的に追従する傾向の強い、われわれの自己改革も必要だ。(10日・マラヤ、ロメオ・リム氏)

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