冷徹な司法判断 活動家が受けた仕打ち
言葉はナイフのように残酷だ。「温情な司法判断を」と主張する地裁の裁判官は、生後2日後に病死した娘の通夜に出席するため、左派系活動家のロサル氏に病院からの外出許可を認めた。しかし、与えられた時間はわずか3時間。翌日の埋葬には「警備上の理由」から出席を認められなかった。
もちろん、ロサル氏が、比共産党の軍事部門、新人民軍(NPA)のスポークスマンの娘であることがその要因だろう。誘拐などの容疑で4月上旬に逮捕された時、彼女は妊娠7カ月だった。バゴンディワ基地(首都圏タギッグ市)での拘置生活は、50平方メートルの部屋に32人がすし詰めにされ、床で寝るという過酷な状態だった。扇風機の使用は認められず、食事も口に合わない。
出産予定日の前日、ロサル氏は公立病院に搬送されたが、医師から「入院できる部屋はない」と告げられ、再び基地に戻された。
結局、生まれた子供は肺高血圧症で2日間という短い生涯を終えた。たとえ拘置中の身であったとしても、適切なケアが施されていれば、子供は助かったはずだ。その子供を弔うため、政府も適切な措置を講じるべきだった。子供の最後を見届けるに十分な外出時間を与えるため、政府が犠牲にしなければならないものは何もない。
アロヨ下院議員=前大統領=が公立病院での未決拘置を求めた際、政府は反対しなかった。補助金不正流用事件の主犯格とされるナポレス被告の拘置でも、「特別待遇」が認められた。
この国では、誰かが無能な政府の犠牲者にならなければならない。確かに罪を犯したかもしれないが、ロサル氏が受けた仕打ちはあまりにも残酷と言わざるを得ない。地裁の主張する「温情な司法判断」とは何を指し示すのか。(24日・インクワイアラー)