小売業自由化問題
愛国心の必要性
下院議員十七人が国内の小売産業を外国企業に開放する小売業自由化法の失効を求め、最高裁に提訴した。
欧米の大企業の参入を許せば、国内の小売産業は完全に外資が独占し、フィリピンの業者は市場から排除されるだろう。
同法の成立はフィリピン国民が求めたものではなく、世界銀行や国際通貨基金(IMF)からの圧力に政府が屈したためとみられる。
わが国の小売産業を自由化させることも二国際機関の仕事なのか。それは違う。これら機関の憲章には、「特に発展途上国では均衡の取れた国際貿易を推進する」とある。ならば、欧米企業から金銭供与でもあったのだろうか。
一九五四年には小売業者をフィリピン国民のみに限定する共和国法が成立した。当時、多くの国民が各地で集会を開くなどして法律の必要性と早期成立を政府に呼び掛けた。
小売業自由化法案に署名したエストラダ大統領は、過去の愛国者たちの努力を台無しにした。
フィリピンの役人が世銀やIMFの操り人形と化す中、最高裁に提訴した議員十七人は、政界で忘れ去られている愛国心を示してくれた。
自由化法は「国内経済の自立を目指す」ことを定めた憲法条項に違反することは明らかだ。有力財界グループ「マカティ・ビジネス・クラブ」の会員たちはこの憲法条項の話を聞き、一笑に付したといわれる。なぜ、この国を愛することができないのだろうか。 (2日・タイムズ、アマド・ガット・インション氏)