ハロハロ
来年8月、独立から70周年目を迎えるインドネシアに初めて、「庶民」階層出身の大統領が誕生することになった。主要都市の書店には今、10種類を軽く超える次期大統領に関する書籍が並び、この「庶民」代表に寄せる国民期待の大きさを示している。と同時に、早くも「期待を裏切らない、新鮮で清潔な政治を確立してほしい」との声が一段と高まるなど、国民は10月20日の大統領就任式を心待ちにしている。
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国政という大舞台で「主役」を務めるのは、首都ジャカルタ特別州知事から転身、7月9日の大統領選で勝利したジョコ・ウィドド氏(53)。貧しい家庭に生まれ、大学卒業後、実業界に入った経歴を持つジョコ氏はその誠実さと行動力を買われて今回の大統領選候補に指名され、見事、「インドネシアン・ドリーム」を実現させた。当選後の第一声で同氏は「国民主体の政治を行う」とあらためて強調、喝采を浴びた。
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一方、元国軍特殊部隊司令官で、かつエリート階層出身の対立候補(62)は「庶民」に敗北したショックのためか、現実を受け入れられず、「票集計に不正があった」と主張、憲法裁判所に再集計を求めている。地元メディアは今、「スハルト時代」を支えたこうした旧支配層とは一線を画する姿勢を鮮明にしている。報道界も国民のジョコ氏への声援を真剣に受け止め、「新時代」到来を予感しているようだ。(道)