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3月15日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 539字|2004.3.15|社会 (society)|ハロハロ ]

 フィリピンの朝は早い。マカティ市の住宅街では、六時すぎに東の空が明るさを増すとジョギングやウォーキングをする常連が姿を見せる。家々の外では若いメードが黙々と落ち葉を掃き集める。右手に手箒(ほうき)を持ち、誰もがややかがめた腰に左手を当てる決まったポーズ。こちらで暮らしだした六年前と全く変わらない光景だ。

 ココヤシの葉柄を細くそいで束ねたものだという手箒。片手で握るには太くて、掃きにくい。どうして使い勝手のよい清掃具がないのか。ダスキン、マイペット、クイックル……。商品名を挙げて恐縮だが、日本にはトイレの洗浄剤にいたるまで、主婦らの家事労働を軽減させる新商品が次々に開発されて店頭に並ぶ。

 フィリピンはどうか。中流以上の家庭で家事労働はメードの役目。彼女らの仕事を楽にさせてやろうといった発想は雇い主にない。だから旧態依然の掃除用具しか売られてないのではないか。この国は女性管理職数が世界第二位で、顕著な女性の社会進出を裏付けているという。だが、進出しているのは「家事はメード、子どもはヤヤまかせ」の女性に限られているのではないか。米国直伝の民主主義を自負する国だが、政界を含め制度化されない「階級制度」が厳存していると思えてならない。 (濱)

ハロハロ