POGO閉鎖を正式発令 摘発強化や従業員支援盛り込む
マルコス大統領が宣言していた年内のPOGO全面閉鎖を盛り込んだ正式な大統領令が発令された
マルコス大統領は8日までに、今年7月下旬の施政方針演説で打ち出したオンラインカジノ企業(POGO)に対する年内の全面閉鎖令を正式に法制化した大統領令第74号を発令した。事務所ビルなどで操業しているPOGO企業だけでなく、居住都市開発省や各自治会などとも提携して住宅地やコンドミニアムなどで操業しているPOGO企業などの取り締まりも強化することが盛り込まれている。オンラインのGMAニュースが8日報じた。
同令への大統領の署名は今月5日付け。大統領は7月22日の施政方針演説でPOGOが投資詐欺や恋愛詐欺、資金洗浄や人身売買、外国人従業員らの誘拐や拷問、殺害などの犯罪行為に関与しているとして今年末までに違法、合法にかかわらずすべてのPOGO企業の操業を禁止すると宣言していた。
大統領令では、違法な活動を行っているPOGOに対する捜査当局による摘発を強化するほか、すべての既存のPOGOおよびインターネット・ゲーム企業(IGL)に対する営業許可の更新や延長手続きを認めないことが定められている。
また、POGOで働く比人従業員が大量に失職するとみられるため、彼らに対するスキルアップや新たな技能習得に向けた職業訓練などを行う支援策も定めている。
▽従業員向け就職説明会人気なし
労働雇用省は7日、マルコス大統領によるオンラインカジノ企業(POGO)に対する年内の閉鎖命令を受けて解雇など影響を受けるとみられる比人従業員向けに先月10月に首都圏のマカティ市とパラニャーケ市で同時開催した大規模な就職説明会(ジョブフェア)について、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)企業など108社による求人案件が1万3744件に達していたものの、参加登録した比人POGO従業員らが340人に過ぎなかったことを明かにした。
同省によると、10月に開催された就職説明会の面接で即座に就職が決まったケースはさらに少なく、33人だけだったという。
同省では、POGO企業の年内閉鎖で失業する従業員は比人と外国人を合わせて7万9735人に達すると見積もっている。そのため、大統領や労働雇用相などの強い意向を受けて同省ではIT業界団体などに呼びかけて比人POGO従業員に特化した特別ジョブフェアの開催に注力しているが、従業員側は積極的に参加する姿勢を見せていない。
このような状況を受けても、労働雇用省は再びジョブフェアの開催を計画している。同省首都圏事務所は7日、今月19日と20日に首都圏パサイ市にあるSMモールオブアジアで再度、大規模なPOGO従業員向けジョブフェアを開催すると発表。参加者にはオンラインで事前登録するよう呼び掛けたほか、面接当日に履歴書などの必要書類の準備をするよう求めた。(澤田公伸)