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「自分の世帯は貧しい」59%に 16年ぶり高水準とSWS調査

[ 1080字|2024.10.12|社会 (society) ]

SWS調査で「自分の世帯は貧しい」と答えた割合が59%となり、2008年6月以来、16年ぶりの高水準

 民間調査会社ソーシャル・ウエザー・ステーション(SWS)は9日、9月中旬に実施した貧困実感調査の結果を発表した。それによると、自分の世帯が「貧しい」と感じている割合が59%と前回6月の58%からさらに1ポイント上昇し、アロヨ政権期の2008年6月に記録した59%以来、16年ぶりの高水準となった。

 今回の調査で自分の世帯を貧困世帯だと実感している割合は、単純に実際の戸数に反映させると1630万世帯に相当し、6月期の1600万世帯から30万世帯増えたことになる。

 また、自分の世帯が貧困世帯とそうでない世帯のボーダーライン上にあると回答した割合は13%となり、前回6月調査時に記録していた過去最低の12%から若干上昇したほか、「貧しくはない」と回答した割合も28%となり、前回調査で記録していた過去最高の30%から2ポイント下落した。

 さらに、「(自分の世帯が)貧しい」との回答者のうち、41・5%が「これまでも常に貧しい」と答えているほか、9・1%が「過去1~4年の間は貧しくなかったが最近貧しくなった」と答えており、全体の4・6%ほどの人が最近の1年間で貧困を実感するようになっていることが分かる。

 貧困実感を地域別でみると、首都圏で52%と低かったのに対し、首都圏を除くルソン地方で55%、ビサヤ地方で62%、ミンダナオ地方で67%と地方に行くほど高水準となっている。しかし、首都圏での貧困実感は前回調査時の39%から13ポイント増と大幅に上昇しており、その増加分が全体的な貧困実感を引き上げたとみられている。

 一方、貧困であると感じないために最低限必要な1世帯当たりの月額生活費について尋ねたところ、全回答者の中央値は1万2000ペソで、前回調査時の1万5000ペソから3000ペソも下落している。首都圏でも同中央値は前回調査時の2万ペソから1万8000ペソに下落しており、物価高騰が続いているにもかかわらず、貧困世帯が生活水準を自ら引き下げるなど、やりくりをしてしのいでいる状況が強まっているようだ。

 主要な世帯ごとの出費額について尋ねた項目もあり、家賃の中央値は3000ペソ、交通費は2000ペソ、インターネット代が1000ペソ、携帯電話ロード代が400ペソとなっている。この中で6月比で上昇したのはインターネット代が900ペソから100ペソ上昇したほか、携帯ロード代が360ペソから40ペソ上昇したことが目立っている。

 同調査は9月14~23日にかけて全国の成人1500人に対面インタビュー方式で行った。(澤田公伸)

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