キボロイ被告が無罪主張 人身売買容疑の宗教団体教祖
人身売買容疑などで逮捕されたドゥテルテ前大統領の盟友の宗教団体教祖、キボロイ被告が罪状認否で無罪を主張
ミンダナオ地方ダバオ市に拠点を持つ新興宗教団体「イエス・キリストの王国」の教祖で、ドゥテルテ前大統領の盟友として知られるアポロ・キボロイ被告が人身売買容疑や児童虐待容疑などで8日に逮捕され、首都圏ケソン市の国家警察本部に収監されていたが、13日に初めてパシッグ地方裁判所で行われた罪状認否に出席した。キボロイ被告は同じ容疑で逮捕されている団体幹部らとともに警察隊に警備されながらパシッグ地裁第159支部に出頭し、無罪を主張した。13日付英字各紙が報じた。
キボロイ被告の代理人を務めるテレオン弁護士は記者団に対し、キボロイ師が持病を抱えているため、ダバオ市にある退役軍人記念病院での入院拘置措置を求めていることを明らかにした。また、かかりつけの医師による診察も求めているとしたが、国家警察側はあくまで拘置施設は首都圏に置かれるべきであり、国立病院に努める医師による診察を実施することを主張しているという。
ファハルド国家警察報道官は14日、ラジオ局のインタビューに対し、キボロイ師と一緒にダバオ市の教団本部で身柄を拘束された幹部ら4人の被告の身柄がパシッグ地裁の命令に基づき、すでにパシッグ市の拘置施設に移されたことを明らかにした。しかし、キボロイ師の身柄は医師の診察問題などでしばらく国家警察本部の収監施設にそのまま留め置く予定だという。
同報道官は、キボロイ師から性的虐待を受けたと被害を名乗り出た女性たちの人数について、被害に関する陳述書を提出する意思を示している女性が少なくとも2人いることを明らかにした。その他にもキボロイ師から性的虐待を受けたと証言する12~13歳の若い少女を含めた女性が多数いるものの、両親らが教団の信者にとどまっていることなどから正式な陳述書を作成して提出することが決心できずにいると説明している。
一方、ホンティベロス上院議員は13日、キボロイ被告らを出頭させて児童虐待容疑などに関する上院公聴会を実施する考えを明らかにした。
同議員は、今年1月の上院公聴会でキボロイ師や教団による性的虐待の全容を初めて公開の場で証言した「アマンンダ」と仮称で呼ばれる20代の女性の勇気を改めて賞賛した上で、「さらに多くの犠牲者が自分たちの人間性と尊厳を回復するために証言することを望んでいる」と再度の公聴会実施に意欲を示した。(澤田公伸)