調査の手はどこまで 洪水対策資金の行方
上院議員らは、昨年からの国家予算で洪水対策に割り当てられた数十億の使い道を調査する気満々のようだ。公共道路事業省、首都圏開発庁、環境天然資源省の役人らが「焼き討ちになる」としたが、その熱意が重要な改革につながるかは別の話だ。上院調査は、これらプロジェクトの背後にいる人、特に選挙資金提供者らの所業にも切り込むのだろうか。
例えば、ラグナ湖は首都圏の水路の洪水流出口になるはずだが、湖の周辺では自由奔放な埋め立て騒ぎが起きており、政府はこの問題を腫れ物かのように見て見ぬふりをしている。
ブラカン州でも地元当局、住民、漁民の皆が環境破壊にしか見えない農地の埋め立てに声を上げている。これもまた規制の失敗と汚職、権力の乱用と政治的癒着の結果だ。
洪水対策を含む治水事業が、国民の怒りや非難、議会調査の焦点になるのは、今に始まったことではない。
新型コロナが猛威を振るう間も、当時のドゥテルテ大統領の頭の中には洪水問題があった。大掛かりな治水事業の多くを担当していた公共道路事業省に、汚職が蔓延していると名指し批判したが、国のトップの超法規的殺人や暴言を持ってしても、その汚職に終止符は打てなかった。
首都圏の治水事業が首都圏開発庁の管轄に移ってからも、公共サービスの改善はみられない。公共道路事業省が先日、洪水対策プランは未策定と認めた。予算編成の度に増大する、未計画プロジェクトの予算を通じたポークバレルが浮き彫りになったようなものだ。
プロジェクトの策定や実施に口を出す議員や地方政府関係者を追求するのか、選挙運動の支援者とされる請負業者まで追求するのか。国民の注目は、上院がどこまで調査の手を伸ばすかに向けられている。(7月31日・スター)