テべス前下院議員を逮捕 知事殺害主犯、東ティモールで
2023年3月の東ネグロス州知事殺害事件の主犯とされ、国際手配中だったテべス前下院議員が21日、東ティモールの首都ディリで逮捕された
司法省によると、2023年3月にビサヤ地方東ネグロス州のデガモ知事ら9人が武装集団によって殺害された事件の主犯とされ、国外逃亡中だったアーノルフォ・テべス容疑者=前下院議員=が21日午後4時ごろ、東ティモールの首都ディリにあるゴルフ場で東ティモール警察と国際刑事警察機構の合同捜査チームによって逮捕された。
テべス容疑者は昨年7月に比テロ防止委員会から弟や関係者ら12人を含めてテロリストに指定されており、同年8月には下院議会からも追放されていた。同容疑者の逮捕を受けてレムリヤ司法相は21日の声明で「フィリピンと国際治安当局が逮捕に向けてたゆみない努力を続けてきたことに感謝する」と歓迎するコメントを出している。
テべス容疑者は政敵だったデガモ知事の殺害事件の黒幕としてだけでなく、2019年3~6月にかけて同州で3人が殺害された事件にも関与したとして起訴されているほか、一族の所有地から大量の高性能銃器や弾薬が見つかり、銃器管理法違反にも問われている。マニラ地方裁判所第51支部は今年2月、比外務省に対し、殺人罪10件、殺人未遂罪12件などで起訴されている同容疑者のパスポートを無効にするよう命じていた。
テべス容疑者はデガモ知事殺害事件の4日前に米国に出発し、病気治療中と主張して議会欠席を続けてきたが、密かに東ティモールに移動していた。東ティモール政府に対しては2回にわたり政治的迫害を受けているとして政治亡命を申し立てていたが、同政府が2回とも却下していた。
司法省のホセ・クラバノ次官は22日、記者団に対し、テべス容疑者の身柄を比に移送するために国家捜査局のメダルド・デレモス局長が率いる捜査チームを東ティモールに送ることを明かにした。東ティモールとフィリピン政府の間には犯罪人引渡し協定が結ばれていないことから、パスポートの無効化による違法滞在での強制送還後、比当局が逮捕する方法が検討されている。(澤田公伸)