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10月9日のまにら新聞から

比で最多の970万人 過去6年で家を追われる子ども数

[ 786字|2023.10.9|社会 (society) ]

ユニセフによると、洪水や台風など気象災害で家を追われた子どもの数は比が過去6年間で最多の970万人

 ユニセフ(国際連合児童基金)が6日に発表した調査によると、洪水や台風など気象災害で家を追われた子どもは過去6年間で4000万人に達した。同調査は2016〜21年の間で行われ、世界44カ国で4310万人の子どもが家を追われたという。1日あたりでは2万人に及ぶと試算されている。

 家を追われた子どもの数はフィリピンが最多の970万人だった。次いでインド(670万人)、中国(640万人)と人口上位2カ国が占めた。

 ユニセフの比担当者は「災害で家を追われたとき子どもが最大の被害者となる。ストレスや病気に加え、教育機会が失われ、搾取や虐待の標的になる。危険にさらされ、家を追われた子どもたちを保護・支援する取り組みを強化する必要がある」と強調した。

 全体の95%(4090万人)が洪水や暴風雨によって家を追われた。災害別に見ると、比は暴風雨で1位、洪水で3位だった。干ばつは130万人に上り、ソマリアやエチオピア、アフガニスタンなどで顕著。山火事は81万人で、カナダやイスラエル、米国が挙げられた。

 また、今後30年間で河川の氾濫により、9600万人の子どもたちが家を追われるとの予測も発表。暴風雨と高波でそれぞれ1030万人、720万人。異常気象の頻度と激しさは増し、被災者も確実に増えていくと予測している。

 比でも今後30年間で高波によって家を追われる子どもたちが、少なくとも250万人に達するとし、ぜい弱な沿岸部、特に人口が密集状態にあるマニラやセブ、ダバオでの影響がより高まる可能性も指摘した。

 調査は比が災害予防として監視システムや早期警報、避難ガイド、避難所の設置など強固なシステムが整備されているとする一方、1度の災害で家を追われる子ども数が多く、受け入れ側のコミュニティーや避難所、学校の収容能力に課題が残ると指摘している。(沼田康平)

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