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12月2日のまにら新聞から

チームを2度目の優勝に導く トゥーホイラーズ 池谷千晃監督に聞く

[ 2390字|2022.12.2|社会 (society) ]

日本人会ソフトで2度目の優勝に輝いたトゥーホイラーズの池谷監督に聞く

日本人会ソフトボール大会で優勝したトゥーホイラーズの池谷監督=27日、沼田康平撮影

 マニラ日本人会主催の第26回ソフトボール大会がコロナ禍を乗り越え3年ぶりに開催された。予選から波乱あり、ドラマありの2カ月にわたる熾烈(しれつ)な戦いを勝ち抜き優勝に輝いたのは「Two Wheeleres(トゥーホイラーズ)」。日系二輪メーカーおよび関連会社が母体となり2002年に設立された後、現在は企業のつながりや野球経験の垣根なく、初心者も野球に熱中するチーム。トゥーホイラーズを2度目の優勝に導いた池谷千晃監督(46)に野球やチームに掛ける想いを聞いた。(聞き手は沼田康平)

―優勝した感想は

 純粋に嬉しい。毎回優勝候補として挙げてもらうが、なかなか結果が伴わなかったので、監督としては安堵している。

―決勝戦を振り返って

 打撃面では次の打者へ「繋ぐ」という意識で最後まで戦ってくれた。従来と異なりクリーンアップ集中型の打順から強打者を分散させ、どの打順からも得点できるという戦略が功を奏した。決勝でも毎回得点できたのはその賜物(たまもの)。守備面では「打たせて取る」ことができ、試合を作った投手陣やそれを盛り立てた守備陣に感謝。

 試合としては初回に連続四球などで満塁のピンチを迎えたが、遊撃手(柿迫選手)が悪い流れを切るタイムを掛け、以降、強力りま組打線を0点で抑え、流れをつかめた。このタイムが大きかった。

―コロナ禍では

 2020年のロックダウン以降、警戒レベルが下がるまで活動は一切できなかった。グランド貸出しの許可が下りるようになった3月からやっと練習が再開。

―チーム作りについて

 22年の選手登録者数は22人。うち半数が野球経験者。練習頻度も多く、意識の高いチームだが、初心者だろうと関係なく受け入れる「来るもの拒まず」スタイル。超人級の選手こそいないが、初心者も含めてそれぞれがチームの役割に貢献している。

 レギュラーメンバーは全員が野球経験者。初心者が経験者を上回りレギュラーを獲得することはなかなか難しいこともあり、初心者は投手として育成することが多い。

 帰任等で毎年のように人が入れ替わるので、高校や大学の監督をしている気分。「このチームで戦えるのは今だけ」という意識をもちながらも、毎年チームカラーが異なる中でどのようなチームを作り上げていくかという悩みもあるが、監督冥利に尽きる。

―監督自身について

 小学校から中高、社会人、現在に至るまで野球漬け。バンコクの日本人コミュニティーでもプレーしていた。トゥーホイラーズへは12年に入団。13年から主将を、17年からは監督を務める。入団したきっかけは熱心に一番練習をしているチームだったから。

 高校で1桁の背番号が取れたのは3年生の夏が初めてと遅咲き。一方で控え選手や記録員、コーチャーの経験を生かして視野を広く持ち、個人の能力以外の知恵を駆使したチームプレーに重きを置くタイプ。

―憧れのチーム、選手は

 参考にしているチームは無いが、強いていえば「スラムダンクの湘北高校」。キャラクターの流川や桜木らがそれぞれ個性がある中、チームの機能をお互いに補うようなチームプレーが好き。泥臭くチームのため、一生懸命ひたむきに努力する渡邊雄太選手(NBAブルックリン・ネッツ所属)にも惹かれる。

 また野球でいうなら、社会人野球に魅力を感じる。応援するENEOS野球部が今年の都市対抗野球大会で優勝したので、うちも優勝したいと思っていた。

―どのような練習を

 オフシーズンを除いて月3回、日曜日午前7時から2~3時間クタクタになるまでやる。練習内容は基礎の確認と連携プレーなどの全体練習と地味なものが多い。試合で無意識に反応できるよう練習では「目的と意識」を伝えて、「考える」ことを大切にしている。練習前のミーティングやキャッチボールの段階から試合を見据えた「意識」したプレーを心がける。

 今年始めた練習のなかには、「あみだ」で相手を決めてキャッチボールをしてみた。毎回違う相手とキャッチボールを行い、選手間での交流や特徴の理解などを深めることができ、連携強化に役に立ったと思う。

―優勝を争った「りま組」について

 2012年以降の決勝戦績は2勝2敗で、常に立ちはだかるチーム。野球経験者や戦い方を知っている選手が多く、勢いに乗せてしまうと手に負えない。試合をするたびに強くなるので、決勝までに倒しておきたい相手。

―対戦相手を分析しているのか

 決勝トーナメント以降は対戦相手のスコアを付け、注目選手を確認し傾向や対策を立ててから試合に臨む。以前はマネジャーがいて自チーム選手のスコアも記録していたが、現在は対戦相手を優先的に記録している。

 りま組さんに対しては「ボールを迎えに行かないようにする」「三塁手、遊撃手、左翼手は守備を固めてきていたので、それを頭に入れて打席に向かうようを心がける」など戦略を立てた。

 故野村克也元ヤクルトスワローズ監督が提唱したID(インポート・データの略。データを駆使して科学的にチーム作りをする)野球のごとく、情報をもとにシミュレーションする。打球がきてからではなく、情報を頭に入れてプレーすると反応が早くなる。

―監督にとって野球とは

 人生そのもの。人との繋がりをくれたスポーツ。人を管理するなど、団体競技の経験は仕事でも活きている。野球をしながら教わったことは今でも人生で生きている。PL学園の中村元監督の言葉にもあるように「球道即人道」を信じている。

 いけや・ちあき 1976年生まれ。神奈川県横浜市出身。製造業・人材派遣業勤務。バンコク駐在を経て2008年からフィリピン赴任。12年にトゥーホイラーズへ入団し、17年から監督。

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