ICC再加盟の意思なし マルコス大統領が言明
前政権が脱退した国際刑事裁判所についてマルコス大統領、再加盟する意志はないと言明
マルコス大統領は1日、首都圏パシッグ市のワクチン接種会場で行われた記者会見で、ドゥテルテ前政権下で脱退した国際刑事裁判所(ICC)への対応について、「再加盟する意志はない」と言明した。1日の英字紙インクワイアラーが報じた。
前政権下で実施された違法薬物取締強化作戦(麻薬戦争)で麻薬密売容疑者らの超法規的殺害が多発した問題で、ICCの検察官がドゥテルテ前政権の関与に関する再捜査の開始を目指しており、ICCは比政府に対し9月8日までに何らかの見解を示すよう求めていた。マルコス大統領はICCへの再加盟の意図がないことを明確にすることで、新政権としては捜査協力を拒否するというメッセ―ジを内外に出したとみられる。
大統領は7月29日、ICCの捜査再開に向けた動きを受けて、大統領府でレムリヤ司法、ゲバラ訟務両長官、エンリレ大統領首席法律顧問、ロケ私設法律顧問(元大統領報道官)ら現政権の法務担当者らと協議を行っていた。
大統領は1日の記者会見で、「ICCが捜査を再開するというので、われわれも会合を持った。われわれの協議では、フィリピン国内でこの問題について捜査を現在も行っているにもかかわらず、なぜ(ICCは)こんな動きを示しているのかと話し合った」とした上で、「ICCに対して応答すべきか否か、また応答するのであればどのように答えるのか、さらにそもそもICCに加盟していないのだから無視することも可能ではないかなどと話し合った」と説明し、政府としての具体的な対応策を協議したことを明かしている。また、「政府のアプローチが適切なものとなるようにし、また政府の行動が曲解されるのを避けるために、内閣に対し具体的な手続きを策定するよう求めた」と対応について詳細に吟味する必要を指摘している。(澤田公伸)