アロヨ期より劣化 行政・民主主義の質指数
ドゥテルテ政権期の「行政の質」指数は39.8。アロヨ政権期より13ポイント減少
米国シンクタンク「バーグルーン・インスティテュート」は4日までに、米カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)と共同で作成した「2019年行政の質指数報告」を発表した。ドゥテルテ政権中期に当たる2019年の「行政の質」指数は39・8となり、アロヨ政権期を反映する2010年より13ポイント減少した。同報告書は「行政の質」を「政策を実行し、集団的な諸活動を組織し、国家収入を集めることを含む、主要な目的を達成するための政府の能力」と定義している。
また、「国民が権力を監視し、選挙や制度的・社会的手段を通じ要求を伝えられる度合い」と定義される「民主主義の質指数」は、2010年より14ポイント減の60・6となった。同指数は司法による権力の監視、参政権、報道の自由、表現の自由などの要素が反映される。
一方、道路や医療インフラなど「国民のための公共財」指数では、2010年より14ポイント増の65・5。大規模インフラ政策「ビルド(建設)・ビルド・ビルド」など公共インフラ政策は評価された一方、政府によるメディアへの攻撃、国家警察による超法規的殺害、セレノ元最高裁長官の弾劾裁判を経ない解任などの問題が行政・民主主義の質低下に反映されたと見られる。
総評としては「行政、民主主義、国民生活(公共財)が全て低水準の国」として、アルゼンチン、エジプト、ジョージア(旧称グルジア)、ナイジェリアと同じグループに入った。
日本、韓国は「行政と生活の質は高いが、民主主義の質がそれより低い国」に分類。一方、「行政、民主主義、国民生活の水準全て高い国」にはオーストラリア、カナダ、ドイツ、オランダ、ノルウェーなどが入った。同報告書は20年以上にわたり世界134カ国を調査している。(竹下友章)