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1月18日のまにら新聞から

2020年婚姻数、過去50年で最低 24万件と19年比44%減少

[ 1069字|2022.1.18|社会 (society) ]

2020年の婚姻数は前年比44.3%減で過去50年で最低、コロナの防疫規制も要因とみられている

 フィリピン統計庁によると、新型コロナパンデミックが始まった2020年の婚姻登録数は24万775件で、19年の43万1972件から44.3%と大幅に減少し、1970年以降の過去50年で最も少ない件数だった。新型コロナウイルス感染拡大で防疫規制が3月から始まったことで婚姻手続きなどが困難になったことが要因とみられる。一方、20年に結婚した15歳未満の男女は51人に上った。21年12月に児童婚禁止法が成立したものの、人口委員会は引き続き警鐘を鳴らしている。15日のビジネスミラー電子版が報じた。

 2020年の婚姻は2月が最も多く全体の18.4%を占め、次いで12月が16.3%、1月が15.5%と続いた。逆に一番少なかったのは4月でわずか0.4%、次いで5月は1.7%だった。この2カ月間に極端に件数が減った要因について、統計庁は「比全土がECQ(防疫強化地域)下に置かれるなどコロナ対策の厳しい防疫規制による」との見解を示した。

 20年に結婚した15歳未満の男女51人のうち、49人が少女、2人が少年だった。15歳未満の少女のうち2人がひと回り以上年上の30代の男性と、15~19歳の少女9人が60歳以上の男性と結婚しているという。15歳未満の少年2人はそれぞれ15~19歳、20~24歳の女性と結婚している。20年には10代後半の女性人口の約4.4%にあたる1万485人が結婚し、前年比56.2%減少も、統計庁は「未成年の女子が関わっている結婚は、未成年男子の4倍」と指摘した。

 人口委は18歳未満の子どもの結婚を禁止する共和国法第11596号(児童婚禁止法)の成立を歓迎する一方、同法では違法と定められた「未成年と成人の同棲」が今後も増加する恐れがあるとの懸念を示した。この「同棲」は過去20年にわたり増加の一途をたどっている。

 人口委は「児童婚禁止法の下で、人々は結婚は避けても同棲は増えるだろう。だからこそ、法定レイプ年齢(同意にかかわらず性交した場合には性的暴行とみなされる年齢)の引き上げ法案がより大きな抑止力になる」と、両院協議会で承認され、大統領の署名待ちの性的同意年齢引き上げ法の発効を切望した。さらに、性的虐待による望まない妊娠だけでなく、未成年婚も、子どもを育てる十分な育児環境と経済力がないまま妊娠・出産することにつながり、世代間貧困の悪循環に陥るケースが多いことを指摘した。

 現在の比の法定レイプ年齢は世界で2番目に低い12歳未満で、同法が成立すると16歳未満に引き上げられる。(深田莉映)

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