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12月5日のまにら新聞から

コロナ下フィリピン社会の軛 フェイスシールド着用義務

[ 650字|2021.12.5|社会 (society)|新聞論調 ]

 新型コロナへの予防効果を高めるとの「信仰」のもと、世界でフィリピン人だけが着用義務を課せられてきたフェイスシールドは、比国民にとって軛(くびき)だ。

 実際、フェイスシールド着用が任意化されたとき、われわれの多くが安堵(あんど)した。しかし新しい変異株の登場で政府は義務化を再検討している。これは益より害の多い、浅はかな反応と言わざるを得ない。

 フェイスシールドはかさばり、マスクと一緒に着用すると呼吸が苦しいので国民には不評だ。それだけではない。流体力学の専門家でフィリピン大のジョシュア・アガル助教は、シミュレーションの結果、フェイスシールドが微細な粒子を内側に滞留させていることを発見。着用時に一時的にでもマスクを下げた場合、感染リスクがかえって高まることを警告している。 

 アメリカ物理学会のジャーナル「流体力学」に掲載された2020年の論文では、フェイスシールドは最初に飛ぶ大きな飛沫を防ぐ効果はあるものの、微細な飛沫はシールド周辺に漂い続けることを明らかにした。

 さらにカナダ労働衛生安全センターは、フェイスシールドはマスクと異なり、飛沫吸入を防ぐ効果は薄いと指摘。毎回使用後に消毒しなければ逆に新たな感染源になると指摘している。

 世界保健機関(WHO)も、新しい変異株が現れたという理由でフェイスシールドを再び義務化する必要はないと言っている。科学の成果を踏まえるなら、マスクの上にフェイスシールドを着用することは、任意のままにすべきだ。(2日・マニラスタンダード)

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