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10月12日のまにら新聞から

日本承認ワクチンへの切実な声 接種事業 邦人団体奮闘で実現

[ 877字|2021.10.12|社会 (society) ]

邦人接種事業の実現に向け、在比日本大使館や邦人団体による奮闘があった

 在フィリピン日本大使館が比政府との交渉の末に実現した邦人への新型コロナワクチン接種事業では、「最後の一人まで」を目標に接種が進んでいる。事業実現には、在比邦人団体による不断の取り組みがあった。

 日本国内で接種が始まったのは今年2月。対象は原則日本国内に住民票を持つ者で、渡航の際住民票を抜いた邦人が対象となるか不透明だった。一方遅れて接種が始まった比国内では、ワクチンの種類を指定できず、シノバック製など日本未承認のワクチンを打たれる可能性が高かった。比で感染が深刻化するなか、日本が承認しているワクチンの比での接種を求める邦人の声は切実だった。

 そうした声を受け、フィリピン日本人商工会議所とマニラ日本人会は4月7日、連名で大使館に要望書を提出。①住民票のない邦人へのワクチンを日本政府の責任で確保し、比国内で接種できる環境を整える②一時帰国による接種③比日両国での隔離期間短縮、入国規制緩和へ向けた比政府への働きかけ――の3つの検討を求めた。

 在外邦人の求めを受けた日本政府はその後、8月の開始をめどに一時帰国接種事業を具体化。そのタイミングに合わせ、マニラ日本人会が申請主体となり外務省の「海外在留邦人・日系人の生活・ビジネス基盤強化事業」を活用、8月から無料PCR検査事業を開始した。一時帰国前の検査にも活用され、現時点で800人以上の邦人が利用している。

 8月下旬、水面下で交渉を進めていた邦人接種事業がほぼ固まると、大使館は希望調査への協力をフィリピン日本人商工会議所、マニラ日本人会に要請。両団体は希望登録を受け持ち、また商工会議所は外務省補助事業に申請、邦人接種コールセンター立ち上げに取り掛かった。電話窓口は9月14日に開設。大使館、商工会議所、日本人会が管理する邦人ワクチン事務局が窓口を運営する。

 9日、パラニャーケ市で2回目の接種を行った会場には商工会議所の小関友寛事務局長が来場者を案内する姿があった。同日セブ市の会場でもコールセンター事務局職員が案内に加わり、同市で1回目の接種事業を終えた。(竹下友章)

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