補足文書追加で署名か 訪問米軍地位協定 29日からの米国防長官訪比時に
オースティン米国防長官が29、30日の2日間、東南アジア歴訪中にフィリピンを訪れ、ロレンサナ国防相、ドゥテルテ大統領らと会談へ
比国防省によると、オースティン米国防長官が今月29、30日の2日間、東南アジア歴訪中にフィリピンを訪れ、ロレンサナ国防相、ドゥテルテ大統領らと会談する。昨年2月にドゥテルテ大統領が一方的破棄を通告し、その後、破棄が確定する前に2度にわたって6カ月間の「破棄の凍結」がされている訪問米軍地位協定(VFA)が議題の中心になる見込みだ。
英字紙スタンダードによると、ロレンサナ国防相は21日、オースティン長官の訪問中にVFAは「補足文書を追加した上で大統領が署名すれば、継続されるだろう」との見通しを示した。
VFAは重大犯罪を犯した米兵のみフィリピン側が裁くとしている点や、起訴後の身柄が米側の管理下に置かれることが事実上認められているなど、日米地位協定と比べても、米軍を受け入れる比側の主権行使が制限されている点が多い。このため比側の主権を拡大する方向で部分修正がなされる可能性がある。
一方、ドゥテルテ大統領は19日の国営テレビの番組で、VFA存続問題に絡み「南シナ海問題とVFAについて米高官と話し合いたい」と述べており、VFA存続の前提として、中国などと争う南シナ海の領有権問題で武力衝突の危機などが生まれた場合、米軍が具体的にどのような支援を比に対して行うのかについて確認したい意向も示している。(石山永一郎)