16年超の発電所に7割依存 停電問題で老朽化対策を要請
エネルギー規制委がエネルギー省に対し老朽化した発電所への対策求める
ルソン島で今月1日を中心に発生した停電に絡み、エネルギー規制委員会(ERC)は、ルソン島への電力供給の7割が発電開始から16年以上経過した発電所によるものだとして、エネルギー省に対し、発電所の老朽化による効率悪化への対策を求めている。また、ERCは7日、全国の発電事業者40社が供給停止の報告義務を怠ったとして、理由書の提出を命じることを明らかにした。9日に上院エネルギー委員会で停電についての公聴会も開かれる。
7日付英字紙マラヤによると、ERCのデバナデラ委員長が5日の下院公聴会で発電所の老朽化について説明。ルソン送電網(ルソン・グリッド)の供給能力計1万4220メガワットについて発電所の操業期間ごとに分類すると、5年以下が17・7%、6〜10年9・3%、11〜15年2・4%、16〜20年29・4%、21〜25年24・0%、26〜30年3・2%、30年以上14・1%で、16年以上経過した古い発電所が供給能力の71%を占めている。
同委員長は「ルソン島のほとんどの発電所が16年以上操業している。計画して整備に時間を使っても、老朽化で効率が悪い。政策的に検討しなければならない」と述べた。
また、フィリピン全国送電会社(NGCP)は現在、需給調整用の予備電力を発電事業者から、配電事業者と同じように市場で購入することしかできないが、同委員長は、NGCPが必要量を確定契約して、独占的に電力を備蓄できるようにする方法を検討することもできると述べた。
エネルギー省は2016年にフィリピン総合電気技術者協会と協定を締結。電力業界全体を監査して技術・契約上の問題を特定し、解決策を確立・制度化するための組織を作った。しかし、監査の結果はまだ発表されていないという。
▽停止800件未報告
一方、8日付英字紙スタンダードによると、発電停止の報告義務を怠っていた発電事業者はルソン、ミンダナオ地方各6社とビサヤ地方28社。ERCの2015年決議に基づく報告義務を守らず、今年1〜4月に起きた電力供給停止で計画外2083件のうち795件が、計画分236件のうち16件がそれぞれ報告されていなかった。
デバナデラ委員長は「未報告の発電停止が気温上昇と重なって電力需給がひっ迫し、その結果、卸売電力市場スポット価格の高騰ももたらしている」と指摘している。(谷啓之)