計画停電で上院聴聞会開催へ 34万世帯、ワクチン会場も影響
ワクチン会場なども影響を受けた計画停電で、上院議員が聴聞会を実施すると発表
電力需給のひっ迫によりルソン地方で2日まで3日間、輪番制の計画停電が実施された問題で、ガチャリアン上院議員は2日、夏季における国内の電力不足問題の解決策を協議するためエネルギー省高官らを召喚して聴聞会を開くことを明らかにした。
気温上昇に伴う電力需要の増大に加え、発電所10基の稼働停止が重なった今回の電力需給ひっ迫は今後も1週間ほど続くとみられており、早期の対策をエネルギー当局に求める意向だ。
一方、クシー・エネルギー相は3日、停電に追い込まれたことについて「謝罪する」と述べた。ただし、3日は台風3号の影響でルソン地方中・北部などで気温上昇が抑えられたことから停電は避けられたもようだ。
上院エネルギー委員会の委員長も務めるガチャリアン議員は2日、1日の計画停電で、首都圏バレンスエラ市にある新型コロナワクチン接種会場2カ所や、ルソン地方16自治体90バランガイ(最小行政区)の約33万9千戸への配電が一時的に中断されたと発表した。
同議員は、クシー・エネルギー相が4月27日の委員会で「今年の夏季における電力供給不足のリスクは高くない」と明言していたにもかかわらず、計画停電を実施せざるを得なかったと当局の対応を非難した。
配電最大手のマニラ電力(メラルコ)管内では、首都圏で最高気温が35度を超えた1日、計画停電が午後1時5分に始まり、カビテ、バタンガス、ラグナ、ケソン、リサール各州の一部と、首都圏マニラ、マカティ、パシッグなど11市の一部で最大1時間実施された。この日は、ボイラーの水回りの漏れなどの故障や整備のため、スアル火力発電所2号機やサンロケ水力発電所3号機など計10基が稼働停止していた。
▽稼働停止上限超える
一方、3日付英字紙マニラブレティンによると、エネルギー規制委員会は2日までに、ルソン島で操業する発電業者17社に対して、計35機の発電機が同委員会から許可されている定期整備や故障時などの緊急修理などによる稼働停止の年間上限期間をすでに超えたことが判明したとして、違反についての理由書を提出するよう命じた。
デバナデラ委員長は「発電業者から提出される毎週の稼働実績報告書を我々は厳密にモニターし点検している」と表明、稼働停止期間に関する遵守義務を果たすよう発電業者らに注意を促している。
エネルギー省は3日、午前9時現在の予想として、同日のルソン島送電網(ルソン・グリッド)の供給能力1万1601ワットに対して、天候不順で各地の気温の上昇が抑えられるため、需要はピーク時で1万331メガワットにととどまることから、計画停電を実施することはないと発表した。
同省によると、故障のため2日から急きょ停止しているパグビラオ火力発電所2号機(最大発電量382メガワット)が6日から、バタアン州にあるGNパワー社マリベレス火力発電所2号機が8日からそれぞれ再稼働する見込みという。(澤田公伸)