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5月30日のまにら新聞から

マニラ振り向けで波紋 州知事は大統領に陳情へ

[ 915字|2021.5.30|社会 (society) ]

国際便のセブからマニラへの振り向けで、一方的決定とセブ州知事を中心に波紋

セブ空港へ到着する国際便をマニラ空港へ振り向けるとの中央政府の決定に、セブ州幹部を集めて会合を開いたガルシア知事(手前のテーブルでこちら側を向く2人のうち左側)ら=本人のフェイスブックから

 ドゥテルテ大統領がマクタン・セブ国際空港に海外から到着する全便を29日〜6月5日まで、マニラ空港へ振り向けるよう命じたことに対して「一方的な決定だ」として、セブ州知事を中心に波紋が広がっている。セブ空港は29日現在、国内便、貨物便、国際出発便のみに運航を制限している。

 29日付英字紙ビジネスミラーによると、ビリャヌエバ上院議員は「セブ方面へ帰国予定だった数千人の海外フィリピン人就労者(OFW)への影響は計り知れない。彼らに余分なお金の持ち合わせはない。特に海外で失職して帰国する者が多い」と政府の決定に疑問を呈した。

 セブ州のガルシア知事は28日、州幹部を集めて会合を持ち、ミカエル・ディノ大統領府ビサヤ主事補佐官らを伴って、大統領と31日に面会するつもりであることを明らかにした。州内の感染状況の詳細を伝えて、新型コロナ対応に手落ちがないことを説明するという。

 28日時点のセブ州における1日あたりの新規感染者数は25人、未回復(アクティブ)が450人。一方でセブ市の新規感染者は45人、未回復が510人だった。

 29日付英字紙スターによると、ロケ大統領報道官は28日、「到着客向けの細則ができていないことをはじめ、OFWや海外在住比人を受け入れて隔離できる宿泊施設の不足が理由だ。セブ州知事の反抗的な態度が理由ではない」と、憶測を打ち消した。

 ガルシア知事は今月10日、セブ空港への到着客は、2、3日のPCR検査の結果待ちをホテルで過ごした後、陰性者は自宅隔離が可能とする州条例を発表していた。新型感染症省庁間タスクフォース(IATF)は14日間の隔離措置と7日目のPCR検査を義務付けており、中央政府の決定に「挑戦」した形になっていた。

 27日に今回の決定を通達したメディアルディア官房長官は「地方自治体の独自規則にかかわらず、IATFが定めた検査や防疫規則を遵守する必要がある」と述べた。ガルシア知事はラジオを通じて「私の力が及ぶのはセブだけで、首都圏の決定は左右できない。ただ、空港は歳入が減り、影響を被るのはセブアーノ(セブ語圏の人々)だ。長引かないことを願っている」と語った。(岡田薫)

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