マニラ振り向けで波紋 州知事は大統領に陳情へ
国際便のセブからマニラへの振り向けで、一方的決定とセブ州知事を中心に波紋
ドゥテルテ大統領がマクタン・セブ国際空港に海外から到着する全便を29日〜6月5日まで、マニラ空港へ振り向けるよう命じたことに対して「一方的な決定だ」として、セブ州知事を中心に波紋が広がっている。セブ空港は29日現在、国内便、貨物便、国際出発便のみに運航を制限している。
29日付英字紙ビジネスミラーによると、ビリャヌエバ上院議員は「セブ方面へ帰国予定だった数千人の海外フィリピン人就労者(OFW)への影響は計り知れない。彼らに余分なお金の持ち合わせはない。特に海外で失職して帰国する者が多い」と政府の決定に疑問を呈した。
セブ州のガルシア知事は28日、州幹部を集めて会合を持ち、ミカエル・ディノ大統領府ビサヤ主事補佐官らを伴って、大統領と31日に面会するつもりであることを明らかにした。州内の感染状況の詳細を伝えて、新型コロナ対応に手落ちがないことを説明するという。
28日時点のセブ州における1日あたりの新規感染者数は25人、未回復(アクティブ)が450人。一方でセブ市の新規感染者は45人、未回復が510人だった。
29日付英字紙スターによると、ロケ大統領報道官は28日、「到着客向けの細則ができていないことをはじめ、OFWや海外在住比人を受け入れて隔離できる宿泊施設の不足が理由だ。セブ州知事の反抗的な態度が理由ではない」と、憶測を打ち消した。
ガルシア知事は今月10日、セブ空港への到着客は、2、3日のPCR検査の結果待ちをホテルで過ごした後、陰性者は自宅隔離が可能とする州条例を発表していた。新型感染症省庁間タスクフォース(IATF)は14日間の隔離措置と7日目のPCR検査を義務付けており、中央政府の決定に「挑戦」した形になっていた。
27日に今回の決定を通達したメディアルディア官房長官は「地方自治体の独自規則にかかわらず、IATFが定めた検査や防疫規則を遵守する必要がある」と述べた。ガルシア知事はラジオを通じて「私の力が及ぶのはセブだけで、首都圏の決定は左右できない。ただ、空港は歳入が減り、影響を被るのはセブアーノ(セブ語圏の人々)だ。長引かないことを願っている」と語った。(岡田薫)