鉱山民営化を検討 コロナ対策の財源確保で
財務相によると、コロナ対策予算の財源を確保するため、鉱山資産民営化を検討
ドミンゲス財務相は18日、オンライン記者会見で、政府が所有する鉱山施設や民間鉱山事業の権益の一部を売却する検討に入ったことを明らかにした。ワクチン購入費用など膨張する政府のコロナ対策予算の財源を確保するための措置だとしている。具体的な鉱山名については明らかにしていないが、同相が銅の国際価格上昇に言及していることから銅鉱山の売却を優先するようだ。20日付英字紙マラヤが報じた。
ドゥテルテ大統領は4月、新規鉱山開発の凍結を9年ぶりに解除する大統領令を発令しており、申請後に保留されていた新規鉱山開発事業100件近くが今後着工され、政府歳入の拡大も期待されていた。
その際に、政府所有の鉱山資産の民営化についても取り沙汰されていた。ドミンゲス財務相は同日の記者会見で「数カ月前に発表したように政府は民営化調整室(PМО)を通じて大規模な鉱山の資産売却を準備中だ」と述べている。
同調整室のホームぺージによると、政府所有の鉱山資産リストには、バセイマイニングやマリンドゥケ・マイニング&インダストリアル、ノノック・マイニング&インダストリアルなどの鉱山施設に加え、セミララ炭鉱やマリカルムマイニングの持ち株なども記載されている。特に北スリガオ州にあるノノックマイニングは有力なニッケル鉱山で、マリカルムマイニングも西ネグロス州にある金銅鉱山会社で、いずれも民営化の対象になっているとみられるが、元株主らとの間の清算手続きを巡る訴訟なども抱えており、容易に民営化手続きに入ることができるか不明だ。
18日に開かれた開発予算調整委員会では、アビサド予算管理相が中期的な財政計画の見直しを発表。財政支出見通しについて、21年の支出を従来の4兆6600億ペソから4兆7400億ペソに引き上げたほか、22〜24年についても、4兆9500億〜5兆4000億ペソへといずれも上方修正するなど、コロナ対策のために政府予算の膨張が予測されており、財源確保が急務となっている。(澤田公伸)