男女平等は比17位、日本120位 コロナで格差解消135年後に
世界経済フォーラムの男女平等に関する調査で、比は17位、日本は120位
シンクタンクの世界経済フォーラム(WEF、本拠・スイス)が男女平等度を調べた「2021年版「ジェンダーギャップ指数」によると、世界156カ国・地域の中でフィリピンは17位、日本は120位。女性の社会進出では比が先進国、日本が後進国という対照的な現状が浮き彫りになった。報告書は、新型コロナウイルスの大流行で世界の男女格差解消の実現が「さらに36年遅れ、135年後になる」との見通しも示した。
▽1位はアイスランド
WEFは「政治的エンパワーメント(政治)」「経済参加と機会(経済)」「教育達成度(教育)」「健康と生存(保健)」の4分野について各国・地域の男女格差を指数化(0が最悪、1が最善)して総合指数を算出、3月31日に発表した。1位は12回連続でアイスランド。2位フィンランド、3位ノルウェーと北欧諸国が上位を占めた。
比は06年の第1回報告書では世界で6位だったが、徐々に順位を下げ、19年12月の前回から一つ下がった。日本は前回より一つ上がったものの、比日間では政治、経済両分野で著しい格差が残ったままだ。
▽比は地域で2位
両国を比べると、総合指数では比が0・784で、東アジア・太平洋の20カ国・地域の中ではニュージーランドに次ぐ2位。日本は0・656で18位。分野別で教育は比が0・999、日本が0・983、保健は比が0・979、日本が0・973と指数の差はわずかだが、 経済では比が0・795(全体の18位)、日本が0・604(同117位)、政治では比が0・362(同33位)、日本が0・061(同147位)と大きな差がある。
報告書は比について、教育と保健の格差を実質的に解消し、経済では上級職と専門職・技術職の男女格差を同時に解消した数少ない国の一つと評価。一方で(1)経済では雇用市場に参加している女性は49%に過ぎず、平均で31%の所得格差、22%の賃金格差が残る(2)政治でも過去50年のうち15年以上も女性が国家元首であったにもかかわらず、女性の割合は国会議員で28%、閣僚で13%と 「まだまだ少ないのが現状だ」──と指摘した。
▽日本の政治指数悪化
日本については、さらに手厳しい。教育格差解消は評価しているが、政治では女性国会議員が9・9%、女性閣僚が10%と「女性の政治参加レベルは依然として低いまま」と強調。経済については(1)上級職の女性比率が14・7%と低い(2)女性の72%が働いているが、パートタイムが50・8%で、男性の2倍以上(3)平均収入では女性は男性より43・7%も少ない──と指摘した。
日本では1999年に男女共同参画社会基本法が施行されたが、15年前から総合指数は0・011しか改善されず、韓国にも抜かれ、政治指数は悪化している。加藤勝信官房長官も31日の記者会見で「各国がジェンダー平等に向けた努力を加速している中、相対的にわが国の取り組みが遅れている」と認めた。
▽平等実現36年遅れる
報告書はまた、コロナ禍による世界的な男女格差への深刻な影響も強調。(1)コロナ禍中の失業率は男性の3・9%に対して女性は5%(2)女性は学校閉鎖により多くの育児負担も負わされた──として「多くの国で男女共同参画の進展が遅れている」と指摘。世界が男女格差を解消するめどについて、コロナ禍直前の前回報告書では「99・5年以内に達成される」としていたが、今回は 「あと135・6年はかかる」と36年も先に延ばした。(谷啓之)