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3月25日のまにら新聞から

3人に1人が後遺症 米グループなど研究 退院後のコロナ患者

[ 1230字|2021.3.25|社会 (society) ]

新型コロナウイルス感染で入院した患者のうち3人に1人が退院後も長期的な健康問題を抱えていることが米国の医師らの研究で分かった

 新型コロナウイルス感染で入院した患者のうち3人に1人が退院後も長期的な健康問題を抱えていることが米国の医師らの研究で分かり、後遺症への懸念が強まっている。研究論文が国際的な生物医学専門誌「ネーチャーメディシン」(22日発行)に掲載された。

 発表者は米国ボストンにあるがん研究所の腫瘍内科医でハーバード大学医学大学院講師のカーティック・セーガル氏らのグループ。

 電子版の同論文によると、新型コロナ感染症発症後4週間以降の急性期後の症状に注目、欧米や中国で行われた9つの長期研究を精査した。

 患者の急性期後の症状としては、疲労、息切れ、不安、抑うつ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などが最も多く、調査対象患者の30%が少なくとも1つの症状を報告していた。

 退院後数カ月たってから複数の臓器の異常を報告した患者もいた。

 米国ミシガン州の38病院で新型コロナで入院、60日後に退院した患者1250人を追跡した結果では、6・7%の患者が死亡していたことが判明、15・1%の患者が再入院を余儀なくされていた。

 電話調査に協力した488人のうち、32・6%の患者が持続的な症状を訴え、うち18・9%が症状が悪化したり、新たな症状が出たりしていた。階段を上るときの呼吸困難(22・9%)が最多で、次いでせき(15・4%)、持続的な味覚・嗅覚の喪失(13・1%)の順。

 中国の武漢での研究では、発症から6カ月後の患者1733人を対象に対面式で包括的に評価。患者の76%が少なくとも1つの後遺症を訴えた。疲労・筋力低下が63%と最も多く、次いで睡眠障害(26%)、不安・抑うつ(23%)の順だった。

 欧州でも同様の結果が報告されている。イタリアでの研究では、退院した患者143人のうち、最初の症状が出てから平均60日後の追跡調査で87・4%は症状が継続。疲労(53・1%)、呼吸困難(43・4%)、関節痛(27・3%)、胸痛(21・7%)が多く、55%の患者は3つ以上の症状が続いていた。

 

 ▽まだ氷山の一角か

 英国、フランス、スペインなどでの退院後の患者の調査でも同様の結果が見られた。患者に脱毛が起きたとの調査結果も複数あったという。

 今回の新型コロナウイルスは正式には「重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2」(SARS—CoV—2)と呼ばれているが、今回のウイルスに感染した患者の生存者だけでなく、2003年に発生したSARSや12年発生の中東呼吸器症候群(MERS)などでも、患者から倦怠(けんたい)感、びまん性筋肉痛、抑うつ症状、睡眠異常など同様の慢性的・長期的な症状が報告されているという。

 研究論文の筆頭執筆者であるセーガル氏は、AFP通信に、新型コロナ感染症について「健康状態に及ぼす長期的な影響はまだ明らかになっていない。我々は氷山の一角を捉えているに過ぎないのかもしれない」と話している。(谷啓之)

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