20日から外国人の入国禁止に コロナ防疫で1カ月間 在比企業など影響必至
比当局が3月20日から4月19日まで、外国人の入国を原則禁止すると発表。OFW以外の海外在住の比人も対象
新型コロナウイルス対策国家タスクフォース(NTF)は16日深夜、3月20日から4月19日まで、外交要員などごく一部を除く外国人のフィリピンへの入国を禁止すると発表した。海外就労者(OFW)以外の海外に居住する比人も入国禁止の対象にするとしている。
これで日比間の往来は当面不可能になり、春の人事異動を控えた在比日系企業スタッフの新規入国にも影響が及ぶことは必至だ。感染状況によっては入国禁止期間が延長される恐れもある。
NTFは発表文の中で、この措置について「新型コロナ変異種の国内流入を防ぎ、感染拡大を阻止するため」と説明している。
フィリピン日本人商工会議所の藤井伸夫副会頭は、この措置について「4月1日を人事発令日としている日系企業は多く、3月下旬に入国を予定していた後任者らの入国が大幅に遅れる例が続出するだろう」と指摘。同商工会議所も3月末に杉浦宏事務局長の後任が比に到着予定だったが、この措置を受けて「20日の入国禁止前に大急ぎで来てもらうかどうかを相談中」という。
しかし、比民間航空局(CAB)は現在1日あたり海外から5千人前後のマニラ空港到着客を18日から1日1500人に限定することを既に空港当局や航空会社に指示。これに伴って国際便のキャンセルが相次いでおり、20日より前の便を確保して来比するのも難しい状況になっている。
在比日本大使館はこの措置に対し「在比企業の人事異動などに大きな影響が出ることは理解している」としつつ「日本も海外からの入国者の検疫などを強化しており、感染拡大を受けてNTFが大統領の承認を得て決定した措置となると、外交交渉で緩和を求めるのは難しい側面がある」と述べている。
フィリピン大を中心とした研究者グループ「OCTAリサーチ」は、現在の感染拡大がこのまま推移すると4月中旬には1日の新規感染者が1万8千人〜2万人に増えると予測しており、1カ月後の感染状況次第では、外国人の入国禁止がさらに続く可能性もある。(石山永一郎)