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3月13日のまにら新聞から

経済再開と規制強化の間で苦慮 コロナ対策で政府と自治体

[ 1273字|2021.3.13|社会 (society) ]

コロナ感染収束が見通せないなか、関係各局は経済再開と規制強化の狭間に

防疫封鎖(ロックダウン)されたバランガイ(最小行政区)で警備に当たる国家警察の特殊部隊員=12日、マニラ市(EPA=時事)

 新型コロナウイルス感染が拡大し、首都圏で防疫強化措置が実施されてまもなく1年。1日当たりの新規感染者は昨年7〜8月に7千人台まで増えたあと、12月に1千人以下まで落ち込むなど小康状態が続いたが、2月に入って2千〜3千人台まで再拡大、3月12日にはおよそ半年ぶりに四千人を超えた。ドゥテルテ大統領は11日、防疫強化による経済不況で貧困がまん延しているとして「あと数週間で経済を再開させる」と約束したが、感染が急増している首都圏の首長らは、夜間外出禁止時間を拡大させ、検問所を復活させるなど規制強化の動きを見せている。経済再開と規制強化のはざまで当局の対応は揺れ動いている。

 12日付英字紙スタンダードによると、大統領は11日、東ネグロス州ドゥマゲテ市での演説で「人々は飢えている。生き延びるために働かねばならない。あと数週間で私は経済を再開させないといけない」と述べ、経済再開に舵(かじ)を切る決意を示した。

 しかし、首都圏では変異種を含めてコロナ感染者の拡大が顕著になっており、首都圏評議会は11日、午後10時〜午前5時までの夜間外出禁止時間を15日から2週間、首都圏で統一実施することを決めた。国家警察も感染が急増している市町に対して警官を増派し、検問を強化させることを明らかにしている。

 ▽規制緩和に懸念

 全国州知事会(LPP)もこのほど、政府に対し、旅行者への入境時におけるコロナ検査実施を義務づける措置を承認するよう要請した。

 LPP会長のプレスビテロ・ベラスコ知事(マリンドゥケ州)はラジオ局のインタビューに対し、新型感染症対策省庁間タスクフォース(IATF)がこの要請を拒否したことを明らかにした上で、「考え直すよう再び申し立てている」とあくまで検査実施が必要との立場を示した。

 また、ロケ大統領報道官は11日、濃厚接触者を追跡するアプリが利用されないなど、「接触者追跡が最も貧弱だ」と認めた。全国的な追跡アプリのStaySafe・phが昨年11月にIATFによって導入されたものの、まだ十分に使われていないという。

 同報道官は陽性者1人当たり最低32人の濃厚接触者を追跡すべきだとの考えも示している。

 ▽接種完了に44年?

 新型感染症国家タスクフォース(NTF)の元特別顧問だったレアチョン医師は11日、「大規模な感染検査や組織化された濃厚接触者追跡、隔離施設の拡充などをせずに、大ざっぱに都市封鎖を実施しても効果がない」と分析した。現在の感染拡大は防疫措置の遵守だけでなく、変異種への対応が不十分であることも理由だとしている。

 一方、ビリャヌエバ上院議員はワクチン接種を受ける人数が現在、1日当たり平均3887人にとどまっており、このスピードのままだと国民の50〜70%が接種を受けるまでに44年ほどかかるとの試算を明らかにした。同議員は、このようなワクチン接種体制だと、大統領が掲げる2023年までの「ノーマルな生活への回復」という約束は果たせないだろうとしている。(澤田公伸)

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