ラモス氏「革命は未完」 各方面からさまざまな声
20年に及ぶマルコス独裁政権が崩壊した「エドサ革命」から35年
アキノ政変(エドサ革命)から35年を迎えた25日、「革命35周年」を記念するイベントはコロナ禍に伴う防疫規制の影響で例年に比べて目立たなかった。その一方で、各方面からさまざまなメッセージが飛び交った。
ANCテレビによると、ケソン市のエドサ大通り沿いの革命記念碑前では、午前8時から30分ほどの短い式典が開かれた。ジョイ・ベルモンテ市長らが参加し、国旗掲揚や献花をした。マルコス政権の国防治安責任者でありながら、反旗を翻し、革命の牽引者ともなったフィデル・ラモス元大統領(当時は比警察軍参謀総長)、フアン・ポンセ・エンリレ元上院議員(同国防相)の両氏は式典に欠席した。
3月に93歳を迎えるラモス氏は、24日の声明で「革命は未完だ。全てのフィリピン人が憲法が保証する自由と権利の数々を享受するまで、仕事は残されている。国の運命は不確かなままだが、私たちがともに手を携えることで、共通の夢は達成されると、比の歴史は証明している」と呼び掛けた。ラモス氏はコロナ禍を自主的に自宅で過ごしているという。
ドゥテルテ大統領は25日の声明で「エドサの精神を胸に、われわれは立場の違いを越え、将来の比人に誇れる遺産を築くために協力しよう」と述べた。ロブレド副大統領も声明で、エドサ革命は「マルコス政権の圧政の中でも、人々の信念と連帯はより強力で、効果的な力であると証明した」と語った。
在マニラ・ドイツ大使館は25日午前、フェイスブックにエドサ革命から35年を祝福する投稿を掲載。「比の民主主義が回復されたこの革命は、世界中の平和的な革命を鼓舞してくれた」と表明した。同大使館のページには「偽りの祝福」「祝福は最大の過ちだ」との書き込みも散見された。他国の大使館で、同様の祝福メッセージを掲載した国はなかった。
青年組織アナックバヤンのフィリピン大ディリマン校支部も同日、「現政権下の抑圧的なシステムを排除するため、若者や比人が立ち上がるかが試されている時だ」との声明を発表した。
一方、ドゥテルテ大統領支持を打ち出す草の根の政治団体「ワンデイPH」は、式典後の同記念碑を訪れ、「ピープルパワー記念日、しかし『人々』の姿はなく、もはや『力』もない」と皮肉った。同団体はフェイスブック上で「マルコス政権下の遺産」と称して、1967〜85年までに実施したとされる大型公共事業を列記した。
1986年のエドサ革命では2月22〜25日までの4日間、首都圏の主要道路「エドサ」を多くの市民が埋め、20年に及ぶマルコス独裁政権が無血で崩壊した。
上院議員の夫を暗殺されたコラソン・アキノ氏が25日には、大統領就任を宣言。マルコス氏は同日中にクラーク米空軍基地に移動、翌26日に米ハワイへ亡命した。(岡田薫)