比全土のMGCQ移行案却下 「ワクチン接種が先」と大統領
大統領が全土をMGCQに移行させる提案却下。「ワクチン接種が先」
ドゥテルテ大統領は22日、フィリピン全土を防疫区分として最も緩い修正一般防疫地域(MGCQ)に移行させる提案について「ワクチン接種が進まない限り無理だ」として却下することを閣僚に伝えた。ロケ大統領報道官が同日の声明で明らかにした。
大統領が否定しているのは全土一律のMGCQへの移行だが、首都圏について専門家は「感染拡大がなお続いている」としており、3月から首都圏がMGCQへ移行する可能性は極めて低くなった。
ロケ報道官は「大統領は経済再開の重要さと(防疫措置による)人々の生活への打撃を十分認識している」としつつ、「大統領は人々の健康と安全をより重視した」と説明。ワクチン接種について大統領は「防疫措置を緩和するためにもできるだけ速やかに始めることを望んでいる」とした。
比には中国のシノバック製ワクチンが間もなく到着する予定だが、ワクチン接種はまだ始まっていない。
政府の新型感染症省庁間タスクフォース(IATF)は、国家経済開発庁(NEDA)のチュア長官代理らの提案に基づき、3月から首都圏を含む全国をMGCQに指定する大統領への勧告をまとめ、22日の閣議で大統領の承認を得たいとしていた。ドゥケ保健相も22日の会見で、首都圏などの防疫緩和について「来月からMGCQに移行する準備ができている」と述べていた。
しかし、大統領は専門家らの見解を重視、これらの提案を性急とみなしたもようだ。フィリピン大を中心とした独立研究グループOCTAリサーチは「首都圏、全国とも感染拡大はなお続いている」として防疫緩和には否定的だった。大統領府によると、ドゥテルテ大統領は3月1日以降の全国の防疫区分について24日に正式発表する予定という。(石山永一郎)