比の対策に厳しい評価 豪国際政策研究所調査
豪政策研究所によると、比のコロナ対応に関する評価は98カ国・地域中79位
新型コロナウイルスの感染が各国に広がって1年を経る中、オーストラリア・シドニーに拠点を持つシンクタンク「ローウィー国際政策研究所」はこのほど、コロナ感染の抑え込みに関する各国政府の対応の有効性を比較した「コロナ対応指標報告書」を発表した。それによると、フィリピンのコロナ対応に関する指標値(最高値100)は30・6と低く、調査対象98カ国・地域中の79位と厳しい評価だった。
この結果にパギリナン上院議員(野党・自由党)は1日までに「国内で感染が確認されて1年が過ぎたが、1月30日にも新規感染者がまだ2千人を超えている。比のコロナ対応のまずさが国内経済に甚大な影響を与えた」と政府を批判した。
同報告書はコロナ対応指標として、累積感染者が100人に達した日から36週間における各国のコロナ抑え込みに向けた対応を(1)感染者数(2)死者数(3)100万人あたりの感染者数(4)100万人あたりの死者数(5)検査実施数あたりの感染者数、(6)千人あたりの検査数──の6項目で評価し、最高の対応を100として数値化した。中国については関連データが入手できないため、対象から除外している。
コロナ対応指数で最も高い評価を得たのは、94・4点のニュージーランドだった。次いでベトナム(90・8)、台湾(86・4)、タイ(84・2)、キプロス(83・3)の順でトップ5に入った。他のアジア・太平洋地域主要国ではオーストラリアが8位(77・9)、シンガポールが13位(74・9)、マレーシアが16位(71・0)、韓国が20位(69・4)と高評価だった。感染者の拡大が続く日本は45位(50・1)と中位にとどまった。東南アジアで最も感染者が多いインドネシアが比を下回る85位(24・7)となっている。
累積感染者や死者数がいずれも世界トップの米国は94位(17・3)とワースト5位。最も低い評価だったのはブラジル(4・3)だった。
フィリピンと東南アジアの近隣4カ国(ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア)を対応指標で比較すると、感染者が100人を超えてから3週目の時点ではインドネシアやマレーシアよりも比が抑え込みに成功していたが、3週間目以降にインドネシアも下回った。
5週目以降は、一時期を除いてインドネシアをほぼ上回っているが、ベトナム、タイ、マレーシアには及ばずに推移してきた。
比で最初にコロナ感染が判明したのは昨年の1月30日で、マニラ市内の病院に入院した比を旅行中の38歳の中国人女性だった。(澤田公伸)