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1月26日のまにら新聞から

「悪魔」は詳細にこそ潜む 新省設置法案

[ 632字|2020.1.26|社会 (society)|新聞論調 ]

 議会が成立を急ぐ3つの省新設の法案の意図は立派だが、私たちを取り巻く問題はより複雑、複合的であり、「悪魔」は見かけよりも詳細にこそ潜むものだ。

 カエタノ下院議長とロムアルデス与党院内総務は災害復興省、海外フィリピン人省、水資源管理省の新設を優先することを宣言した。環境天然資源省は実際、水問題をはじめ山ほどの難問を抱えている。だが、自然環境を保護する名目の同省が、気候条件が悪化する中で民間会社の発展を間接的に支える現状はおかしい。環境保護は大統領府の管轄に置かれるべきだ。

 環太平洋火山帯の比には多くの地震と20余りの台風が毎年やって来る。まるで肥大化した官僚機構が災害を呼んでいるかのようだ。歴代政権の縁故政治は重要な機関の人材を細らせ、責務の履行に非効率性を生んだ。

 比人海外就労者(OFW)に対して頻発する虐待が、大統領に施政方針演説で海外比人省新設を誓わせた。もしできた場合、労働雇用省や傘下の海外労働者福祉局を担当してきた人材はどうなるのか。災害復興省も、国防省や内務自治省、科学技術省といった機関と機能がオーバーラップし、実力主義や他省の職員の権利が損なわれては元も子もない。

 今思えば、まず始めに大統領府が管理の専門家グループを作り、政府全般の再編成と改革を検討して提案する方が良かったかもしれない。場当たり的な提案は非効率な官僚機構を肥大化させ、余計なものを生むだけなのではと危惧している。(22日・スタンダード、リト・バナヨ)

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