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9月13日のまにら新聞から

農民を守るセーフガード措置も コメ輸入自由化法

[ 796字|2019.9.13|社会 (society)|新聞論調 ]

 制定されてまだ6カ月のコメ輸入自由化法は、わが国のコメ供給問題に対処するチャンスを与えられるべきだろうか? 法律を作った議員らによれば、イエスだ。

 同法によりコメ競争力強化基金が設立される予定で、実現すれば農業機械化やコメの品種改良などに6年で100億ペソが注ぎ込まれる。同法は、国内の農民を輸入米から保護することも目的としており、ASEAN諸国からのコメには35%の関税がかけられる。農家のセーフティーネットとして、同法は大統領に関税を調整する権限を与えている。

 ドミンゲス財務相は、同法は現政権下でも最も重要な成果で、現時点での見直しは必要ないとしている。ダール農務相は、同法が比の農家の競争力を高め、インフレ率を下げると説明。さらにドゥテルテ大統領が今年2月に同法に署名する前ですら、コメの価格が下がったとも述べている。とはいえ、基金はようやく先月に資金を調達したばかりで、結果はまだ出ていないことも認めている。

 同法では、米の輸入量は制限されずに、関税がかけられる。そのため農民グループは、小売業者が国産米ではなく安い輸入米を購入していると同法への失望を表明している。

 しかし、立案者であるビリヤール上院議員は、同法は綿密な調査に基づいて策定され、農家への支援プログラムもあること、インフレ抑制にも効果があるなどと反論している。関税庁も7月中旬までにすでに65億ペソをコメ輸入業者から徴収している。基金によって一刻も早く農民を支援するプログラムが実施されるよう、同議員は農民組合や利害関係者らに協力を呼び掛けているのだ。

 同法の共同立案者である南カマリネス州のビリャフエルテ下院議員は「同法は消費者にも利益がある。2018年に起きたコメの供給不足と小売価格の高騰を繰り返してはならない」と述べており、筆者も賛同する。(10日・スタンダード、エルネスト・ヒラリオ)

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