経営側の実情より人気取り 14カ月目給与支払い法案
一般従業員向けの14カ月目給与の支払いを雇用主に義務付ける法案をソットー上院議長が7月22日の再開国会に向けて推進すると表明した。法案は議長自身が提案したものだ。この追加ボーナスは雇用形態に関係なく、1カ月以上働いた一般従業員に対して支払われることが謳(うた)われている。
ソットー議員は2016年に法案を最初に提出したが、当時は第1読会も通過できなかった。しかし、彼の現在の立ち位置を考えると、今後上院で審議が本格化する可能性がある。もちろん上院で法案が可決されても、下院でも可決できるかは不透明だ。この法案が可決された場合、労働者が受ける恩恵はかなり大きい。生活費が高騰している現在、労働者にとって、家に持ち帰ることの出来る給与が増えることは大歓迎だ。しかし、議員たちがたとえ法制化できたとしても、雇用主が完全に順守するかは別問題だ。
13カ月目給与の支払いが雇用主に義務付けられてすでに40年以上が経過している。しかし、現在もその支払いを拒否したり、実施していなかったりする雇用主がいるという苦情を、労働雇用省に申し立てる労働者がひきもきらない。法律で義務付けられている13カ月目給与ですら、まだ完全実施への移行段階なのだ。
これは明らかに労働組合セクターを念頭に置いた人気取りの法案だ。最低賃金の引き上げ要求を政府から拒絶され続けている労働組合セクターには魅力的な政策だろう。また、国内でトップ100社に入るような大企業にとっては14カ月目給与が義務付けられても、それほど収益には影響が出ないだろう。経費が増えた分はこっそりと価格に転嫁すれば済むことでもある。
しかし国内企業の99%を占める中小零細企業にとっては別の話だ。13カ月目給与の支払いですら、期限通りに完全に支払うことが出来ていないのだ。事業利益という果実を公平に配分することはもちろん大切だが、資本側が犠牲にならないような方策が必要だろう。(9日・インクワイアラー、ラウル・マラブリカ)