排除でなく包括政策を──MNLF歩み寄り
ドゥテルテ大統領が、モロ民族解放戦線(MNLF)のミスアリ議長と今後の話し合い開始に向けて短時間、会見したことに関して、世間やメディアは結論を急ぐべきではない。
会見は、大統領が進めてきた取り組みを損うものでは決してない。例えば、議会が承認したバンサモロ基本法(BOL)、自治法の適用地域での住民投票実施の成功、バンサモロ・イスラム自治区(BARMM)への移行段階である暫定統治機構の発足などだ。大統領の行動は、住民投票時にBARMM帰属への賛成派と反対派の一部衝突や、ミスアリ議長率いるMNLFのボイコットなど、ねじれてしまった箇所を解消するために必要な行動だったとみるべきだろう。
暴力や不確実性への容易な解決策などない。政府や自治政府にとって、正念場はこれからだ。最も重要なのは、自治政府による地域の平和と自治を促進するための包括政策ではないだろうか。
政府の最初の誤りは、1996年にMNLFと和平を結び、MNLFにそのまま自治区統轄を任せたことだった。それがモロ・イスラム解放戦線(MILF)の分派を呼んだ。新たな誤りとなり得るのは、政府がMILFにBARMMをそのまま任せてしまった場合だ。だからこそ、より包括的に、あらゆる地域の利害関係者を自治政府に据える必要がある。その点で大統領が、BARMM構想からずっと閉め出されていたタウスグ人やミスアリ議長と意見交換することは全面的に正しい。BARMM全てのムスリムを包括する政策でなければならない。(1日、マニラタイムズ)