国民皆保険法案 両院可決 年内成立へ 政府負担増で懸念も
上院が国民皆保険法案を賛成多数で可決。早ければ今年中にも成立する見通し
上院議会は10日、すべての国民に健康保険を適用させるユニバーサル・ヘルス・ケア法案(1896号)を賛成多数で可決した。下院では昨年9月に同様の法案が可決されており、今後両院委員会協議とドゥテルテ大統領の署名を経て早ければ年内にも成立する見込み。
同法案では増大する医療費は国家予算から拠出するとしているが、社会保険機構(SSS)などが企業や労働者に負担増を求める可能性もある。
上院の声明によると、失業や経済的困窮によりフィリピン保険公社(フィルヘルス)の保険に未加入の人でも一定の医療サービスが保険で受けられるようになる。採血や検尿などの臨床検査も保険適用の対象となり、SSSやフィルヘルスの保険適用範囲も拡充される見込みという。
法案可決に先立ち、大統領は10日、同法案を優先議題に指定し上院に審議を急ぐよう促していた。下院議員時代に同法案の執筆者の一人だったロケ大統領報道官は「フィリピン国民すべてが保険で医療を受けられることには非常に大きな意義がある」と述べ、上下両院の可決を歓迎した。
同法案を推進したエヘルシト上院議員は「比人の医療費負担は年々増加しており、画期的な法案が可決された歴史的な日だ」と喜んだ。
一方、SSS関係者によると、SSSやフィルヘルスは大幅な負担増への対応を決めるため今週中にも関係者で協議を行うという。(伊藤明日香)