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6月24日のまにら新聞から

「タンバイ」とは誰なのか 取り締まりの正当性

[ 652字|2018.6.24|社会 (society)|新聞論調 ]

 ドゥテルテ大統領の指示により、首都圏警察はこのほど、路上でたむろしている「タンバイ」の取り締まりを始めた。と言っても、事実上取り締まりの対象となるのは、公共の場での喫煙や飲酒を禁じる各市の市条例に違反した者だ。一方で、喫煙や飲酒をしていなかったが、一緒に連れていかれたというケースも相次いでいる。政府が本当に取り締まりたいのは一体何なのか。

 もともとは、職を得られなかった若者や失職者が路上で時間をつぶしている状態を「就職するためのスタンバイ状態」という意味でタンバイという呼称が生まれた。失業率が高いフィリピンの路上では、日中から路上でビリヤードやチェスに興じたり、立ち話をしたりしているタンバイたちは多く見受けられる。確かに路上でタバコを吸いながら宴会をしたり、違法賭博を行うタンバイは少なくない。しかしタンバイの全てが市条例に違反しているわけではない。

 路上にたむろする人たちの多くは貧困層出身で、彼らの自宅というと質素な作りで空調もなく、小さなスペースに大家族がひしめくようにして暮らしている。だから自由に動き回り友人と話したりするスペースを求めて、路上に出ているだけなのだ。

 アジアで最も殺人事件発生率が高く、麻薬問題が深刻な首都圏では、路上は安全な場所とは言いがたい。携帯電話やかばんを標的に定め、盗みをたくらむ犯罪集団も多くいる。路上の犯罪者を警戒したり、市条例違反者を取り締まるのは結構だ。しかし憲法で保障されている人権を尊重し、慎重に行われる必要がある。(18日・スター)

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