国民を分断するな 現政権の威圧戦略
現在のドゥテルテ政権ほど国民が分断された政権はかつてなかった。不幸なことはこの分断が現在の政治的支配層によってもたらされていることだ。わが国は憲法に定められているように民主主義共和国制である。考え方や意見の多様性が担保されるべきであるのに、現在の指導者層は自分たちがあくまで正しいとし、それに異議を唱える者たちの意見を聞かず、彼らを軽蔑して恨みを持つのである。
もっと深刻なのは、報道などで明らかな通り、現在の大統領が、自分を非難したり、自分の過去の過ちや過去の犯罪行為・汚職に関与した疑いなどを取り上げる者たちをすぐに敵とみなし、彼らを告発して拘束し、公共の場で恥辱を与えていることだ。
大統領は自分に異議申し立てする者に対していかに戦いを挑み、軽蔑し、呪いの言葉を吐き、侮辱するのかはよく知られている。このような個人を攻撃するやり方は、彼の支持者たちによるソーシャル・メディアを通じた物言いにも共通している。彼らは合理性や論理を無視して、大統領の批判者たちをひたすら攻撃しているのだ。
しかし、現在の状況で最も深刻なのは、人気を利用し、支持者たちを動員した仮想敵に対する威圧行為だ。2月25日に行われたエドサ革命31周年記念式典に対抗する形で、内務自治省が各地方自治体に呼び掛けて大衆を動員してルネタ公園で行った集会がそれである。
支持者を動員して自分が望むように物事を進めるやり方は下院の死刑復活法案に関する審議でも明白だ。下院では与党議員の数の力で合理性を無視した審議が進められ、法案の通過を目指している。就任後のたった7カ月間でこれほどの分断を持ち込んだ現大統領だが、傲慢(ごうまん)さと自身を正当化する態度を変える時間はまだ十分残されている。(3日・スター、ホセ・シソン氏)