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8月22日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 559字|2016.8.22|社会 (society)|ハロハロ ]

 ジプニーに乗っていると、かなりの確率ですし詰め状態に陥る。乗客の数が収入に直結する歩合制のため、運転手は少しでも席を詰めるよう乗客に呼び掛ける。皆少しずつ横にずれ、座るスペースがほとんどなくても、乗客と乗客の間に腰を少し浮かせて座る人も珍しくない。そんな状態で真夏日の渋滞に遭遇すると、車内は息苦しく、ほとんど蒸し風呂だ。

 一方、日本の新幹線では、2列席の窓側に座っている乗客は、通路側に荷物を置いていることが多い。まるで「隣には座るな」と意思表示しているみたいで、そこに断って座るのはある種の勇気を伴う。席を少しでも譲ろうとするジプニー車内とは対照的な光景である。長距離バスに至っては、3列席もある。隣席に「他人」がいない快適さを追求したバス会社の配慮かもしれないが、世界で3列席を設けているバスが走っている国は他にあるのだろうか。

 ジプニーの乗客を見ていると、人と人との距離感の近さを実感する。日本は、人と人とのつながりが希薄化する無縁社会と言われて久しい。相次ぐ孤独死はその象徴だ。たかだか新幹線やバスの話かも知れないが、人との距離感を暗示しているような気がしてならない。孤独死を無くすための制度や対策をいくら講じても、隣人や他人に対する抵抗感が存続する限り、結局は同じかもしれない。(竹)

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