不戦主義者として 両陛下の比訪問
天皇、皇后両陛下が26日から30日までフィリピンを訪問される。皇太子、皇太子妃時代の1962年以来、2回目となる両陛下の訪比は、比日国交正常化60周年を記念して行われるという。
日本と比は第二次世界大戦中に最も大きな被害を受けた国だった。日本では、米軍が1945年8月に落とした2発の原子爆弾で、12万9千人を超える人々が亡くなった。また、大戦中に比で戦死した日本人は50万人を超え、日本国外の戦死者としては最多だった。
一方、比は旧日本軍の侵攻と米軍の砲爆撃により甚大な被害を受けた。特に大戦末期に市街戦が行われたマニラでは、ポーランドのワルシャワと並ぶ破壊と殺りくが繰り広げられた。
5日間の滞在中、両陛下はルソン地方ラグナ州カビンティ町にある日本人戦没者の慰霊碑を訪問、献花される。この碑が建立されたのマルコス政権下の73年だったが、当のマルコス大統領も戦時中に旧日本軍の捕虜となり、マニラ市イントラムロスのサンチャゴ要塞(ようさい)で拷問を受けた一人だった。
ところで、天皇陛下は不戦主義者であり、戦死者や犠牲者の死を悼み、戦争中に日本人が犯した罪を謝罪し、大東亜共栄圏の記憶をよみがえらせる安倍晋三首相の安保政策を快く思っていないと聞いている。
安倍政権下の日本は、中国が西フィリピン海(南シナ海)全域の領有権を主張し、島や環礁などの実行支配を拡大する中、「アジアの警察官」としての役割を米国から与えられたわけだが、オバマ米大統領の「アジア基軸戦略」で米軍の代役を忠実に務めている限り、比国民が日本をののしるようなことはないだろう。(20日・スタンダード、トニー・ロペス氏)