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8月17日のまにら新聞から

武装闘争から政治家に アチェ和平合意

[ 723字|2015.8.17|社会 (society)|新聞論調 ]

 インドネシアに住むアチェ人たちは8月15日にアチェ和平合意達成10周年を迎える。インドネシア政府と独立運動を戦ったアチェ人たちによる和平合意からわれわれは何を学ぶことができるだろうか。

 アチェのNGO(非政府組織)関係者らは昨年、アチェ和平合意に関する資料を集めた平和博物館を立ち上げた。アチェ州政府も昨年12月、州政府ビル内にピース・メモリアル・ホールをオープンさせた。フィリピンではなぜ、このような博物館がつくられていないのだろうか。比はアジアで初めて反体制武装勢力と和平合意を結んだ国なのに。実際に比政府は、1996年にモロ民族解放戦線(MNLF)との間で最終和平合意を結んだほか、その前の76年にトリポリ合意も結んでいる。我々はモロ・イスラム解放戦線(MILF)との和平合意で最終段階を迎えている。

 アチェ和平合意はいくつかの問題を抱えながらも着実に進展してきた。この合意からわれわれは二つのことを学ぶことができる。まず一つは、武装闘争の指導者たちが民主的な政治枠組みの中で政治指導者へと変身する必要があるということである。アチェの武装闘争の指導者たちもアチェ党という政党を立ち上げ、政治家になることを学んだ。残念ながら、この政治学習を通じて汚職や選挙不正、政治的な暗殺事件なども選挙期間中に発生するようになったという報告書も出ている。

 もう一つ重要なことは、アチェの武装勢力が和平合意が達成されるより前から自治政府の創設に向けた準備に入っていたことである。実際、モロ・イスラム解放戦線の指導者たちは、アチェの人たちから学ぶためにスタディー・ツアーを実施しているのも事実である。(14日・ビジネスワールド、アミナ・ラスル氏)

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