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10月20日のまにら新聞から

主権と友好関係 米海兵隊員の犯罪

[ 715字|2014.10.20|社会 (society)|新聞論調 ]

 米海兵隊員が、性転換者のフィリピン人男性を殺害したとして書類送検された事件は、約10年前に起きた同様の事件をわれわれに想起させた。

 この事件が起きたのは2005年。やはり軍事合同演習に参加中だった米海兵隊員が、比人女性をレイプしたとして起訴された。この隊員は有罪の一審判決後、比当局に拘束され、拘置所に収容されたが、拘置期間はわずか数週間。在比米大使館員らが真夜中に拘置所を訪れ、隊員を大使館へ連れ帰ったのだ。

 事件を起こした米兵の身柄について「司法手続きが終了するまで、米側が拘束する」と定めた訪問米軍地位協定(VFA)の不平等さは当時も問題になったが、同じことが今また、繰り返されようとしている。

 問題の本質は、われわれに不利なVFAによって、ぼろぼろにされた比の主権であり、主権より超大国との友好関係を優先すべきなのかという問いだ。

 「不利」と指摘した理由の一つは「特異なケースの場合、比は身柄引き渡しを要請できる。米はこれを最大限考慮する」と定める条項。同規定のため、比外務省報道官は「(今回の事件は)被害者が亡くなったことを考慮すると、特異と言わざるを得ない」と指摘しながら、「要請してみるが、米側が応じる保証はない」と付け加えざるを得なかった。

 今後、訴追を進める比司法当局にとって、もう一つ課題となる規定がある。それは「裁判開始から1年以内に判決を出さなければならない」という内容だ。ただでさえ審理の遅さで知られる比の裁判所にとって「1年以内の判決言い渡し」はたやすいことではなく、判決が出なければ「その時点で裁判終了」(外務省報道官)となり、米兵は釈放されるのだ。(16日・インクワイアラー)

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